コンソールでのダウンロードコンテンツ配信や、iPhoneなどのオープン携帯アプリ市場が拡大しています。その結果、中小のディベロッパーでも当初から海外市場を視野に入れたゲーム開発が可能になりました。しかし、海外向けにゲームを配信するためには、単に完成したゲームの言語データを翻訳するだけに留まらず、初期段階からローカライズを視野に入れた作業が必要になります。これらはUIデザインや言語データの管理方法など多岐にわたり、国内向けにゲームを開発するだけでは、なかなか習得することができないものです。そこで本セッションでは、長年ローカライズに携わってきた開発者を講師に招き、海外向けにゲーム開発を行う上で、陥りやすい落とし穴や具体的なテクニックを紹介します。その上で出席者の皆さんと、海外向けゲーム配信の可能性について議論を深めていきます。なお本セッションは主にディベロッパーを対象としていますが、パブリッシャーのローカライズプロデューサーや、ローカライズ業務を手がける開発者の方々も、ご参加いただければ幸いです。
講演者プロフィール
小野 憲史
関西大学社会学部卒。「ゲーム批評」編集長を経て2000年よりフリーのゲームジャーナリストとして活動中。
「iNSIDE」「まんたんウェブ」「Game Watch」などで執筆。
テレビゲーム業界全般で取材を行っている。
共著に「ニンテンドーDSが売れる理由-ゲームニクスでインターフェースが変わる」(秀和システム)、他に「ゲームニクスとは何か」(幻冬舎)構成協力など。
講師からのメッセージ
一昨年、昨年とゲームUIに関する司会を担当させていただきましたが、今年はテーマを一新して、ローカライズに関する議論を担当させていただきます。
主に日本から海外に向けた、ディベロッパー向けの議論を進めたいと思っておりますので、一緒に議論を盛り上げていきましょう。
稲葉 治彦
大手総合ゲームメーカーを経て、2003年末に海外版ゲーム制作を手がける株式会社ナニカを設立。外部ベンダーとして数々のゲームソフトの翻訳・音声収録・海外版制作コーディネートを手がける。
現在は国際市場を強く意識したゲームの企画制作およびパブリッシングにとりくんでいる。
講師からのメッセージ
ゲーム業界に身をおいて15年間、一貫してゲームソフトの海外向けタイトルの制作に関与してきただけに、成功体験もあれば失敗体験も数多くあります。
これらの体験を共有し、少しでも国際市場における成功体験を国内で増やす役に立てれば喜ばしいです。
長谷川 亮一
1992年株式会社セガ・エンタープライゼス(当時)に入社、「エコー・ザ・ドルフィン」や「ナイトトラップ」を始め、40タイトル以上に関わる。
1998年ソニー・コンピュータエンタテインメントに移籍、「クラッシュ・バンディクー」「ラチェット&クランク」「Formula One」シリーズなどを担当。
2007年株式会社セガに戻り、「セガラリーレヴォ」や「ソニッククロニクル」など、現在までに累計で12プラットホーム、81タイトルのローカライズに関わった。
Game Developers Conference では2003、2004、2009年にそれぞれローカライズ手法に関する講演を行っている。
講師からのメッセージ
働いている年数、通り抜けてきた修羅場の数はそれなりのものだという自負がありますが(笑)、ローカライズで一番重要なのはコミュニケーション能力だというのが私の持論です。
エミリオ・ガジェコ
スペイン・グラナダ大学翻訳通訳学部を経て、上智大学日本語日本文化学科言語学専攻を卒業し大学院に進学。
翻訳技術・品質評価について様々な論文を執筆し、修士課程を修了。
以後、日本のエンターテインメント文化の海外紹介に励み、漫画・アニメの海外版の制作に打ち込む。担当タイトルは「はだしのげん」や「タッチ!」、手塚治虫の作品がある。
2004年以降ゲーム業界に飛び込み、任天堂ヨーロッパにて「ゼルダトワイライトプリンセス」や「スーパーマリオギャラクシー」などを担当。
2007年以降、株式会社バースデーソング音楽出版Windwardゲームローカライズ事業部でプロデューサーとして日本ローカライズ事情の改善に取り組む。