WiiやニンテンドーDSのヒットでゲームのUIに対する注目度が高まっています。しかし、これらの基礎になっているのが、ファミコン以来ゲーム業界で培われてきた、さまざまなUIに関するデザインノウハウであることは、言うまでもありません。講演者は過去20年間にわたるゲーム開発の経験から、これらを「ゲームニクス理論」として体系化すると共に、その応用について研究を行っています。本セッションではゲームUIの特性=ゲームニクス理論の概要について解説すると共に、これらを家電やウェブサービス、教育、映像といった、他分野に応用していく上での可能性や、課題点などについて討議します。
講演者プロフィール
小野憲史(モデレータ)
関西大学社会学部卒。「ゲーム批評」(マイクロマガジン社)編集長を経てフリーライター。「SlashGames」「まんたんウェブ」などで執筆。テレビゲーム業界で取材を行っている。
共著に「ニンテンドーDSが売れる理由-ゲームニクスでインターフェースが変わる」(秀和システム)など。
サイトウ・アキヒロ(パネリスト)
多摩美術大学在学中から、CMディレクターとして多数の作品を手がけ、また20年以上にわたり任天堂他多くのゲームディレクションに携わる。雑誌「ファミコン通信」の立ち上げ・編集も行うなど、活動範囲は多岐にわたる。近年はゲーム制作の基本概念となる「ゲームニクス理論」を提唱。またネットワーク時代における”感性推論型人工知能”の開発を推進中。
著書に「ゲームニクスとは何か-日本発、世界基準のものづくり法則」(幻冬舎新書)、「ニンテンドーDSが売れる理由-ゲームニクスでインターフェースが変わる」(秀和システム)がある。
受講者へのPR情報、メッセージ
おもしろいテレビゲームを開発するうえで、ユーザー・インターフェースの作り込みは必須の要素です。しかし、デジタル家電や携帯電話、ウェブサービスなど、世の中の製品のほとんどは、テレビゲームほどUIが練りこまれていません。その違いは何なのか。どうしてテレビゲームは子供から大人までマニュアルなしで遊べるのに、実用品の世界はそうなっていないのか。はたしてテレビゲーム開発者が、こうした異業種の製品作りと関わることは可能なのか。そんなことを講演者の経験をもとに、幅広く議論していく場になればと思います。またゲーム業界に入ったばかりで、わかりやすい操作系や、使って楽しくなるようなインターフェース開発のノウハウを修得したいと感じている方にもお勧めです。