CELLプロセッサは今世代で終わり、後続がないことが明らかになり、次世代機の話題もちらほらと聞こえて来るようになった昨今。気構えが必要になってくるのはGPGPUへの取り組みだ。GPGPU技術は物理シミュレーションはもちろんのこと、特殊なレンダリングメソッドの実現にも貢献すると言われ、次世代機では必須の修得技術キーワードになる。今年は、物理シミュレーションという不変的なテーマとこのGPGPU技術の話題に絡めた技術トピックを話し合っていく。
講演者プロフィール
新井 タヒル
大阪大学基礎工学部卒。ゲーム制作会社にてコンシューマーゲームの開発に携わる。開発中にゲームエンジンの重要性を認識し、OROCHIエンジンのプロジェクトを立ち上げる。
《講師からのメッセージ》
OROCHIが公開されてから1年が経ち、最初の採用タイトルをご紹介できるようになりました。
パブリッシャー、デベロッパー、ミドルウェアベンダーの3社が協力しなければ完成し得ない、素晴らしいゲームに仕上がっています。
外部のエンジンに依存するデメリットもありますが、それを上回るメリットがあるということを、講演を通じて感じて頂ければと思います。
津田順平
1993年コーエー入社。3Dツール等の開発を経て現在はCG、AI、シミュレーションなどに関連した社内ライブラリの開発業務に従事。
<過去の講演>
物理エンジンの作り方(CEDEC2008)
物理エンジンの作り方その2(CEDEC2009)
Practical rigid body physics for game(SIGGRAPH ASIA 2009 Course)
フルボディIKエンジンの作り方(CEDEC2012)
松生 裕史
CEDEC2009 ゲーム物理の扱い方
CEDEC2010 ゲーム開発マニアックス(物理シミュレーション編)
CEDEC2011 ゲーム開発マニアックス(物理シミュレーション編)
Game Physics Pearls(A K Peters Ltd.)の第3章を執筆
《講師からのメッセージ》
原田隆宏
Takahiro Harada is a researcher in AMD's office of the CTO where he is exploring the possibility of GPU computing, mainly focusing on application to physics simulation. Before joining AMD he engaged in research and development on real-time physics simulation on not only PC but also game consoles at Havok. Before coming to industry, he was in academics as an assistant professor at the university of Tokyo where he also earned his Ph.D. in engineering.
原田隆宏は、AMDのCTO総長室のリサーチャーであり、GPU コンピューティングの実現性においてその可能性の追求に勤しんでいます。主には、フィジックスシミュレーションに対するアプリケーションにその焦点を当てています。以前は、Havokにて、PC上だけではなく、ゲームコンソール上でのリアルタイムフィジックスシミュレーションの研究、開発に携わっていました。現在の開発分野に携わる前は、東京大学にて助教授を努めていました。同校にては、エンジニアリング分野で博士号を取得しています。
松宮雅俊
1975年生まれ。2002年 奈良先端科学技術大学院大学 博士課程修了。博士(工学)。
2007年12月より株式会社カプコンに在籍。
社内共通エンジンMT FRAMEWORKの物理シミュレーション担当。
主にソフトボディ/布シミュレーションや流体シミュレーション、GPGPUの研究開発に従事。
CEDEC 2010、CEDEC 2011にて講演。
西川善司
10代の学生時代にパソコン誌「Oh!X」ライターデビュー。日立製作所を経て、テクニカルジャーナリストとして独立。おもにIT技術にフォーカスした解説記事を執筆しているが、近年はゲーム開発技術や3Dグラフィックス、映像機器関連の取材に力を入れている。 近著に「3Dゲームファンのためのグラフィックス講座」(インプレスジャパン)、「ゲーム制作者になるための3Dグラフィックス技術」(インプレスジャパン)、「図解 次世代ディスプレイがわかる 」(技術評論社)がある