デジタルゲームは、ユーザーがメディアからの情報を受け取ると同時に、ユーザーが選択した結果が反映されるインタラクティブなメディアです。したがって、デジタルゲームにはメディアとしての面白さがあり、人と社会に対するその影響力は強いと考えられますが、とくに人に対する影響を科学的に明らかにしている研究は不足しているのが現状です。ひと口にデジタルゲームといっても多種多様であり、その種類や内容が異なれば心身に与える影響も異なると考えられます。そこで、本セッションでは、デジタルゲームの人に対する心理的・生理的影響について科学的に解明した最新の研究を紹介します。
講演者プロフィール
馬場 章
早稲田大学大学院修了後、東京大学史料編纂所助手、助教授をへて、大学院情報学環助教授。2005年より現職。専攻は日本経済史、ゲーム学、アーカイブ学。2006年には日本デジタルゲーム学会(DiGRA JAPAN)を設立して、初代会長となる。科学技術振興融合財団理事。中山隼雄科学技術文化財団評議員。コンピュータエンターテインメント協会(CESA)前理事。ゲーム開発においては、2003年、ゲーム学会第1回ゲーム作品コンペティションにて「組んでなんぼ」がアカデミック部門最優秀賞受賞。また、2010年、我が国におけるゲーム研究の推進に貢献としたとして日本デジタルゲーム学会賞受賞。
《講師からのメッセージ》
デジタルゲーム研究は、技術だけでなく人文・社会科学にまたがる広範な研究です。日本におけるゲーム研究は、ここ数年で世界に匹敵する水準まで向上し、今や世界の研究をリードするまでになりました。CEDEC2011では、東京大学馬場研究室が進めている学際的なゲーム研究の一端をご紹介します。これを契機に、ゲーム産業界・ゲーム開発者の皆さんと大学の研究者の関係が、多様な課題で豊かに発展することを期待しています。
須田 一哉
2006年関西学院大学メディア情報学科卒業
2006年東京大学大学院学際情報学府修士課程入学
2008年東京大学大学院学際情報学府博士課程進学
木村 知宏
東北大学文学部人文社会学科卒業。
2011年より東京大学大学院学際情報学府修士課程在学。
《講師からのメッセージ》
学部では心理学を専攻していました。心理学的方法を中心にデジタルゲームという対象にアプローチしています。現在は、ゲームが人の心理的・生理的側面に与える影響について関心があります。