昨年、清水女流王将に勝利して話題になった将棋AI「あから2010」では、複数のAIによる「合議制」が採用されていました。オセロやチェスでは、AIを人間のパートナーとして競技を行う “advanced” と呼ばれるカテゴリーが最近始まりました。将棋という伝統的なゲームを子供たちに教えるためにデザインされた「どうぶつしょうぎ」は、親子の対話をもたらすものとして好評です。機械と機械、人間と機械、人間と人間という違いはあれど、これらは異なる存在の「コミュニケーション」を「ゲーム」のメカニズムとして取り入れようという試みです。当セッションでは、このような試みに取り組まれている方々の議論を通して「ゲーム」と「コミュニケーション」の関係を探ります。
講演者プロフィール
伊藤 毅志
昭和63 北海道大学文学部行動科学科総合行動学専攻卒業、平成6 名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程修了、同年電気通信大学情報工学科助手、平成19年 同助教、平成22年同大学情報理工学研究科助教、現在に至る.
エンターテイメントと認知科学研究ステーション 代表
コンピュータ将棋協会 (CSA) 理事
コンピュータ囲碁フォーラム (CGF) 理事
<著書>
-「先を読む頭脳」(新潮社)
ほか
<講演>
-DiGRA JAPAN 11月公開講座「囲碁AIにおける革命「モンテカルロ木探索」とは何か?」(2008).
-CEDEC2008、CEDECラボAI分野、「ゲームとAI」招待講演(2008).
-2010 Forum on Theory of Computer Games, "The Challenge of Computer Shogi" (2010).
ほか
《講師からのメッセージ》
囲碁、将棋などの思考ゲームを中心に、プレーする人間の思考や学習などの認知過程の研究や対戦して楽しいゲーム研究に従事。
UEC杯コンピュータ囲碁大会、5五将棋大会などの思考ゲームのコンペティションの企画遂行、世界コンピュータ将棋選手権広報担当など、コンピュータ思考ゲームのコンペティションや公開対局の企画運営を行なう。2010年の「清水市代女流王将VSあから2010」では、コンピュータ側の合議アルゴリズムを提案し、勝利に貢献。情報処理学会「トッププロ棋士に勝つコンピュータ将棋プロジェクト」メンバー。
「ゲームとコミュニケーション」
合議研究を通じて、人間の対話、コミュニケーションについてパネラーの皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
「あから1/100と遊ぼう」
北尾 まどか
日本の伝統文化である将棋を、世代を超えた知的コミュニケーション
ツールとして、広く親しんでもらいたいという理念で会社を設立。
将棋の公開イベントの開催や、フリーペーパー「駒doc.」の作成、
入門用教材の企画開発など新しい取り組みを行う。
そのほか、原稿執筆や講演など、活動の場を広げている。
【主な著作】
どうぶつしょうぎ (幻冬舎エデュケーション)
どうぶつしょうぎのほん (幻冬舎エデュケーション)
《講師からのメッセージ》
将棋は日本の伝統分化、世界を繋ぐ知的ゲーム。
今、将棋の輪が世界に広がり、各所でブームが起きています。
将棋は先を読む力が必要です。相手の考えを予測して着手し、返ってきた手に対応してまた考える。この繰り返しです。「棋は対話なり」という言葉がありますが、会話よりもっと深いところで通じ合えるのが将棋の素晴らしさ。
普及の現状と、将棋の魅力についてお話ししたいと思っています。
松原 仁
1986年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了.同年通産省工業技術院電子技術総合研究所入所.2000年公立はこだて未来大学教授.
2002-2011年 NPOロボカップ日本委員会会長.
情報処理学会トッププロ棋士に勝つためのコンピュータ将棋委員会副委員長.
著書 「将棋とコンピュータ」(1994,共立出版)
「鉄腕アトムは実現できるか」(1999,河出書房新社)
「ロボットの情報学」(2001,共著,NTT出版)
「先を読む頭脳」(2006,共著,新潮社)
木村 将人
東京工科大学メディア学部メディア学科卒
2008年 Webdesign International Festival 2008(仏) オリジナリティ賞受賞
2008年 コントロールプラス株式会社入社
2009年 ソーシャルゲーム事業部の立ち上げを担当
現在、全アプリのアートディレクションを担当
《講師からのメッセージ》
黎明期にリリースした携帯ソーシャルゲーム「スイーツコレクション」は、
今では続編をmixi,GREE,Mobageの3プラットフォームに展開し、
シリーズ計200万人以上の方々に愛されるゲームへと成長しました。
主婦層を始めとしたライトユーザの心を掴んだのは、
「ごっこ遊び」を模したソーシャルコミュニケーションでした。
これまでの道のりとその成功の秘訣を、
失敗談メイン(仮)でお話しできればと思います。