本セッションは、インディーゲーム開発をテーマとした漫画制作のための取材成果から、日本におけるインディーゲーム開発者のキャリアデザインについてご紹介します。
また、ゲーム産業における次世代育成の支援について、現状の分析と業界への期待についてお話いたします。
『デベロッパーズ~ゲーム創作沼へようこそ~』は、講談社DAYS NEOにて連載し、全三巻を出版した、インディーゲーム開発者を主題とした商業漫画作品です。
制作にあたり、インディーゲーム開発者へのインタビューや展示イベントの視察、開発者コミュニティへの取材などを1年以上実施しました。
マンガ家という近隣産業に属する者の視点からみて、ゲーム産業における新進気鋭の開発者の盛り上がりや、行政や民間の支援プログラム、開発者同士の相互扶助の文化は新鮮に映りました。
本作に登場するインディーゲーム開発者は、すでに個人で開発者として活動している者、大手に就業しつつ土日で自分のゲーム制作をして独立を目指す者、イラストレーターからインディーに転向した者、学生からインディーゲームの開発と展示を実践する若者など、さまざまなバックグラウンドを持っています。これは、実際に取材した開発者の姿を反映したものです。
物語構成のための聞き取りを進めていく中で、日本のインディーゲーム開発者がどのように作品リリースを重ねていくのか、業界内での課題や悩んでいることは何なのかといった情報が集まりました。
ゲーム開発会社に勤務するみなさまにとって、日本のインディーゲーム開発者は「近くて遠い」存在なのではないかと思っています。
インディーゲーム周辺の事業者は知っていても、実際に手を動かして汗を垂らしながらインディーゲームを作っている人々について、その実像はあまり見たことがないかもしれません。
本セッションを通じて、インディーゲームの文化に接点を持ちたいと考えているみなさまにむけて、最前線の情報をご紹介いたします。
講演者プロフィール
新井 春巻

講談社ヤングマガジンコミックス
「こはるはる!」
「女子校のこひー先生」
「デベロッパーズ~ゲーム創作沼へようこそ~」
《講演者からのメッセージ》
ゲーム業界とマンガ業界、近いようで遠い存在ですが、
一番近いところはインディーゲームにあるんじゃないかと取材をして思いました。
重たい技術的な話はできませんが、外側から見たゲーム業界の一面、
その面白さを感じていただければと思います。
一條 貴彰

個人ゲーム作家として『Back in 1995』を開発、Steam/Nintendo Switch/PS4/XboxOne向けに配信。現在も新作を開発しながら、執筆活動やアドバイザリー業務を通じて日本のインディーがさらに活躍できるための環境づくりを目指している。
経済産業省 デジタル等クリエイター人材創出事業『創風』アドバイザー、インキュベーションプログラム「iGi indie Game incubator」アドバイザーを務める。
また、著書に『インディーゲーム・サバイバルガイド』、ウェブサイト「IndieGamesJp.dev 」運営、インディーゲーム開発者専用カンファレンス「Indie Developers Conference」共同主催。
《講演者からのメッセージ》
昨今、大小さまざまなゲームビジネスが「インディーゲーム」と呼称されておりますが、本講演においては「個人~数人チームの作家が、自分たちのビジョンに基づいて自主的に制作し配信販売するゲーム作品」という意味でお話をいたします。
今回は漫画作品のアドバイザリーという立場で『デベロッパーズ』に参加しました。インディーゲーム開発者当事者の一人として、インディーゲームの文化が国内ゲーム産業全体に寄与し、ともに発展するための未来の展望をお話しできればと思っています。