本講演では、LLMを活用したゲーム開発支援機能の開発事例と、生成AIの導入と利用を推進するための組織的な取り組みの事例を紹介する。
急速に進化する生成AIに対応すべく、Cygamesでは全社横断的な活動を担う「GenerativeAI活用委員会」と、AIの専門部署である「AIテクノロジー」という組織を設立し、ゲーム開発において生成AIが「何ができ、何ができないか」を明確化する取り組みを進めており、LLMを活用した業務効率化で成果が出はじめている。
特にAIチャットサービス「Taurus」は、社内のナレッジベースやデータベースなどの様々な業務情報を用いた回答を実現し、開発と運用を通じて社内のAIリテラシーの向上や業務効率の改善に寄与している。
本講演では、これらの取り組みの中で発生した様々な課題と解決策、Microsoft Azure OpenAIのPTU環境やAWS Bedrockなどを用いたLLMベースの機能における開発事例を技術面にフォーカスして紹介する。
講演者プロフィール
金井 大

2014年より株式会社Cygamesに合流。シニアゲームエンジニアとして、ネイティブアプリ開発、グラフィックス、VRなど幅広い分野で研究開発に従事。
その後、開発運営支援部署のマネージャーおよびエンジニア2部の部長を歴任し、ゲーム開発業務の改善に取り組む。
2024年4月からは専門役員として、ゲーム開発におけるAI技術の研究開発と利活用の推進を統括している。
《講演者からのメッセージ》
生成AIは課題解決の手段の一つにすぎませんが、現時点ではゲーム業界におけるその活用に関する知見の共有はまだ十分とは言えません。
Cygamesでの生成AI導入や活用推進に向けた取り組みの紹介が、皆様の一助となれば嬉しく思います。
笠原 達也

2023年より株式会社Cygamesに合流。
Unityエンジニアとしてコンテンツ開発に従事し、現在はAIエンジニアとして社内AIチャットサービスTaurusの開発と運用に取り組んでいる。
《講演者からのメッセージ》
Taurusの開発では、RAGによる社内ナレッジの活用など、技術的チャレンジに向き合いながら、実用的なAIシステム構築の経験を積むことができました。
その中で得られた実装の技術的詳細、ゲーム会社の現場での活用について、AIチャットツール開発者の観点から知見を共有します。ぜひご聴講ください。
都築 圭太

2015年に株式会社Cygamesへ合流。入社後はデータ分析基盤の運用開発や運用タイトルの不正対策などに従事。
現在は社内AIチャットサービスTaurusの運用やLLMを用いた業務改善の検証に取り組んでいる。
《講演者からのメッセージ》
LLMをはじめとした生成AIの進歩は早く、新しい情報をキャッチアップするだけでも大変です。 一方で検証結果を業務効率化に繋げるためには「普通の」アプリケーションとして安定運用させることが不可欠です。
今回紹介する社内AIチャットツールの運用とLLMによる業務改善の事例が、皆様の生成AIの検証と運用を推進するヒントとなれば幸いです。