本講演ではレイトレーシングを用いたレンダリングアルゴリズムの実装を、複雑な理論を用いずにHIPによる実装例と共に解説します。具体的にはパストレーシングを用いた大域照明の計算や、近年注目が高まっているReSTIRのようなリアルタイムに適したアルゴリズムなどを解説します。HIPはGPUプログラミング向けのAPI・カーネル言語であり、C++を用いてカーネルを記述することが出来ます。HIPではAPIの抽象度がVulkanやDirectX 12などのモダンなグラフィクスAPIよりも高レベルであるため、アルゴリズムの実装に集中できます。本講演ではHIPを通じてGPUの並列計算能力を活用することで、実装の複雑度を抑えながらアルゴリズムの結果をインタラクティブに可視化できるようにし、手軽にレイトレーシングを学びます。
講演者プロフィール
江藤 健汰
2022年3月東京工業大学大学院情報理工学院修士課程修了。2022年4月日本AMDに入社し、オフラインレンダリングエンジン(Radeon ProRender)/リアルタイムレンダリングエンジン(Capsaicin Framework)の開発に従事。プロダクト開発の傍らレンダリング技術に関する研究も行い、これまでにSIGGRAPH Asia、I3D等の国際学会で論文発表を行う。過去の講演は「二階層ラディアンスキャッシングを用いたゲーム向けリアルタイム大域照明 (CEDEC 2023)」「オフラインレンダラーにおける複合マテリアルの仕組み 〜表現力と物理的正確さの追求〜 (CEDEC 2023)」など。
《講演者からのメッセージ》
少しでも興味のある方は現在のレベル感に関わらず、気軽に参加して頂ければと思います。初めての方でも理解できるような分かりやすい説明を心がけます。
吉村 篤
レイトレーシングベースのレンダラーであるRadeon Pro Renderのコアモジュールの開発から、最近では機械学習をグラフィックスへ応用するための研究開発など主に手掛けています。昨年、同僚主催のCGに特化したGPUプログラミングのコースをSIGGRAPH Asiaにて行いました(https://gpu-primitives-course.github.io) 。
《講演者からのメッセージ》
幅広い層に向けて、楽しくレイトレーシングの心を学べるように頑張ります。