それぞれの企業におけるゲーム開発過去資料は、各企業において保存されているが、産業全体において、必ずしも良い保存状態で保存されているとは言い難い状況にある。それらの資料は、日本のゲームの歴史を正確に体系化し、世界に発信する意味でも重要な資料である。本セッションでは、ゲーム開発企業4社が集まり、それぞれの立場におけるゲーム開発過去資料の保存と活用について報告しディスカッションを行う。ゲーム開発資料保存は、ゲーム産業全体の各企業で保存・公開されていくことで、社会におけるデジタルゲームの文化的価値を高めることにつながる可能性を持つ新しい展開である。これまで日本のデジタルゲームの歴史を築いて来たゲームの開発資料の世界的な重要さと、その具体的な活用方法について知見を共有を目指すものである。
講演者プロフィール
三宅 陽一郎
京都大学で数学を専攻、大阪大学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程を経て博士(工学、東京大学)。2004年よりデジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事。著書に『人工知能の作り方』『ゲームAI技術入門』『戦略ゲームAI解体新書』、共著に『FINAL FANTASY XVの人工知能』『ゲーム情報学概論』(CEDEC AWARDS 2018 著述賞)など多数。『大規模デジタルゲームにおける人工知能の一般的体系と実装 -FINAL FANTASY XVの実例を基に-』にて2020年度人工知能学会論文賞を受賞。
《講演者からのメッセージ》
ゲーム資料を保存し編纂することは、これまでゲーム産業がたどってきた道のりを示し、未来への展望を開きます。そして、その規模と質が大きいほど、未来へ向けて大きな帆を張ることができます。ゲーム開発資料保存・編纂の試みは、ゲーム産業全体で協力して行うことで、日本のゲーム開発の歴史の全体像を取り戻し、日本のゲーム産業全体が未来への力を得ることができます。本講演をお聴き頂き、各社の具体的な編纂作業のノウハウを得て頂いたならば、ゲーム産業全体の連携のもとで、それぞれの企業における資料編纂の取り組みを始められる一助となるかと考えております。本講演をお聴き頂き関心を抱いた方は、ぜひ、ご連絡ください。詳細は講演資料に記載いたします。よろしくお願いいたします。
外山 雄一
テクノソフト、コンパイル、ライジング等でプログラマー/企画職として活動した後、2017年より現職。
タイトーでは「ダライアス」シリーズなどを中心とした過去タイトルの復刻商品プロデュースに関わる。
個人として「ゲーム文化保存研究所」に協力する他、「特定非営利活動法人ゲーム保存協会」名誉会員でもある。
《講演者からのメッセージ》
若い開発者、プレイヤーの中には「数十年前のゲームの保存は自分には関係ない」と思っている方もいるかもしれません。しかしゲーム業界が続く限り、保存と振り返りの重要性は増していきます。ゲーム復刻に関わるようになって気づいた、そんなことをセッションの中でお話させて頂ければと思います。
牧野泰之
■戦国BASARA4皇:アシスタントプロデュース
■大逆転裁判1&2:プロデュース
■カプコンVS.手塚治虫キャラクターズ(コラボ展):プロデュース/企画
■カプコンタウン(カプコン40周年WEBサイト):プロデュース/企画/ディレクション/アートディレクション
■JR東海×カプコン:プロデュース/企画/ディレクション
■大カプコン展(2025年3月開催予定):プロデュース/企画/ディレクション
《講演者からのメッセージ》
開発部に所属しながらもゲーム開発以外の領域でも様々なビジネスを実施してきましたので、色んな職種の方々が聞いても参考になるような話をさせていただこうと思っております。
奥成 洋輔
1971年生まれ。1994年に株式会社セガ・エンタープライゼス(現・セガ)入社。セガサターンおよびドリームキャスト向けタイトルのパブリシティ、PS2以降のゲームプロデューサーなどを担当。2005年以降は過去タイトルの復刻を数多く手掛ける。主な作品にPS2「SEGA AGES 2500」シリーズ、Wii、3DS「バーチャルコンソール」セガハードタイトル、ニンテンドー3DS「セガ3D復刻プロジェクト」(CEDEC AWARDS 2014年エンジニアリング部門・優秀賞受賞)、『メガドライブミニ』『同・2』『ゲームギアミクロ』など。
個人活動としての著作に『セガハード戦記』(白夜書房刊)がある。
《講演者からのメッセージ》
大好きなビデオゲームを残したい。あの時の興奮、熱気をできる限り記録しておきたい。そんな想いでゲームの復刻を仕事にして20年が経ちました。ここから10年はさらに視点を広げて、皆さんとともにビデオゲームの歴史を遺していくための時間に使いたいと思っています。常に最先端を目指して前に進み続ける業界だからこそ、後ろにできた道程も大事にしたい。このセッションをきっかけに、業界全体での歴史保存の意義、意識をより高めていければ幸いです。