環境音の配置やリバーブの指定などの 3D 背景に紐付いたオーディオの制御は、昨今の 3D ゲーム制作において「当たり前に求められるもの」となりつつあります。
一方、ゲームの開発現場では商用のゲームエンジンやオーディオミドルウェアを組み合わせてオーディオ制作を行うことが増えていますが、それだけで複雑な環境音の配置などを行うのは難しく、予定に無いカスタマイズ作業が発生するなどのトラブルが起きやすくなってしまっています。
そういった背景を受け、今後のゲーム制作では環境音実装をもっと「当たり前に出来る」ようになって欲しいと願い、必要となる一通りの知見や考え方を共有します。基礎的な部分を底上げすることで、業界としてより積極的に応用的なことに取り組んでいけるようになると良いなと思います。
細かいトピックとしては、「環境音実装の温度感」「様々な形状の配置」「複雑な音源位置の取り扱い」「連続性や排他性などの担保」「リバーブ」「遮蔽」「音楽の配置」「応用的な制御例の紹介」などを扱います。
講演者プロフィール
木幡 周治
電子楽器開発会社でのソフトウェア開発、ゲーム会社でのオーディオプログラマーとしての経験を経て、2021 年からフリーランスのテクニカルオーディオデザイナーとして活動、2023 年法人化。
◆ 講演など
[CEDEC2017] 実戦的なゲームのための音響空間表現 ―NieR:Automataにおける事例―
[GDC2018] An Interactive Sound Dystopia: Real-Time Audio Processing in 'NieR:Automata’
[CEDEC2022] テクニカルオーディオデザイナーの世界
《講演者からのメッセージ》
環境音は世界観を表現する上でとても重要な要素の一つであり実装の物量も多く、表現の深化や実装の効率化を特に必要としている分野です。
一方でまとまったノウハウ共有が少なく、ちょっとした実装ですら上手くいかないことが起こる分野でもあります。
講演を通してそんな状況が少しでも良くなればいいなと思っています!