スクウェア・エニックス社内で進められている過去資産のサルベージプロジェクト「SAVE」では、書類、グッズ、フィルム、ディスクなど、様々な物とメディアを網羅的に扱い保存しています。この保存の工程自体が複雑な工程であり、その最もあるべき姿を研究してきました。ゲーム開発資料は、会社の引っ越しや、書類や物、特にテープ類の劣化によって、損なわれる機会が多くあります。しかし、保存活動の開始には、いくつかの課題が存在します。始めるための体制や技術体課題です。それぞれの企業が、過去の開発資料を保存する際には、同様の問題に直面するはずです。本セッションは具体的にどのような作業フローによって過去40年以上に渡るゲーム開発資料を整理しているのか、また、それぞれのメディアをどのようにサルベージしているのか、について、我々が蓄積してきた技術とノウハウを共有します。本講演が、そのようなゲーム開発保存資料をはじめる機会となるように、我々が超えてきた課題とその解決方法の一例を共有いたします。
講演者プロフィール
三宅 陽一郎
京都大学で数学を専攻、大阪大学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程を経て博士(工学、東京大学)。立教大学大学院人工知能科学研究科特任教授、九州大学客員教授、東京大学客員研究員・リサーチフェロー。IGDA日本ゲームAI専門部会チェア、日本デジタルゲーム学会理事、人工知能学会理事・編集委員、情報処理学会ゲーム情報学研究会運営委員。著書に『人工知能のための哲学塾』『人工知能の作り方』『ゲームAI技術入門』『戦略ゲームAI解体新書』、共著に『ゲーム情報学概論』(CEDEC AWARDS 2018 著述賞)など多数。『大規模デジタルゲームにおける人工知能の一般的体系と実装 -FINAL FANTASY XVの実例を基に-』にて2020年度人工知能学会論文賞を受賞。
《講演者からのメッセージ》
ゲーム資料を保存し、正しい順序で編纂することは、新しくゲームの未来を作ることでもあります。そして、その規模と質が大きいほど、未来へ向けて大きな帆を張ることができます。ゲーム開発資料保存・編纂の試みは、ゲーム産業全体で協力して行うべきものでもあり、日本のゲーム開発の歴史の全体像を取り戻すことで、未来への力を得ることができます。本講演をお聴き頂き、具体的なサルベージと編纂作業のノウハウを得て頂いたならば、企業間の連携を促したいと考えております。本講演をお聴き頂き関心を抱いた方は、ぜひ、ご連絡ください。詳細は講演資料に記載いたします。よろしくお願いいたします。
小林 一弘
2015年9月スクウェア・エニックス・ビジネスサポート入社
2020年~SAVEプロジェクトに従事
《講演者からのメッセージ》
拙い部分も多々あるかと思いますが、よろしくお願いします。
松永 圭一郎
2014年スクウェア・エニックスの特例子会社スクウェア・エニックス・ビジネスサポートに入社。
2020年より過去資産のサルベージプロジェクトにおける資料データ化に従事。
《講演者からのメッセージ》
資料データ化の手順が少しでも参考になれば幸いです。
阿部 拓人
2017年に株式会社スクウェア・エニックス・ビジネスサポート入社。
2020年より過去資産のサルベージプロジェクトにおける資料データ化に従事。
《講演者からのメッセージ》
今回の講演が少しでも参考になれば幸いです。