本セッションでは、「残念ながら倒産してしまった会社さんのゲーム」などの、復刻が難しいゲームを、合法的にプレイできるようにするための方策を、皆様と一緒に考えたいと思います。
例えば権利者が誰かがわからなかったり、連絡がつかないような場合の復刻は、ハードルが高いと考えられます。昔のゲーム機のデータを保管しておかないと、そのデータが消失してしまう恐れもあります。
これらの課題を解決するため、例えば、文化庁の裁定制度を利用した復刻の例や、改正された著作権法31条に基づいた「国会図書館からの配信」の可能性など、合法的にできることから、プレイヤーにもゲーム会社にも社会にも「三方良し」な復刻の仕方を模索していきたいと思います。
講演者プロフィール
松田 真
最初にプレイしたのは、エポック社のカセットビジョン。
早稲田大学教育学部理学科数学専修。大学の研究テーマはゲーム理論でした。
データベース系システムの開発に従事の後、特許業界へ。
2021年に松田特許事務所を設立。
JDLA E資格/G検定
デジタルアーカイブ学会法制度部会
日本弁理士会著作権委員会
趣味で小説を書いたりしています。
「ゲームにおけるアウトオブコマースの研究 オーファンまたはアウトオブコマースなゲームはプレイ可能に公開可能か」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsda/5/s2/5_s138/_article/-char/ja
「新型コロナを前提としたライブイベント」(共著:月刊パテント 2011年11月号)等。
《講演者からのメッセージ》
ゲームを50年後、100年後にも「プレイ可能」な形で残す、というのが究極目標です。
ゲームの保存や復刻には、法律の壁に限られない多くの壁がありますが、お仲間と共に検討を進めております。
今回のセッションでは、現在地点を少しだけご紹介させて頂きます。
宜しくお願い致します。
橋本 阿友子
弁護士。ピアニスト。
京都大学法学部卒業、京都大学法科大学院修了(法務博士)。上野学園大学音楽学部音楽学科器楽コース(ピアノ専門)卒業(芸術学士)。
外資系法律事務所勤務後、骨董通り法律事務所所属。専門はエンタテインメントロー全般で、特に音楽著作権に詳しい。著作物の保護期間にも造詣が深く、アーカイブ活動に携わる。
幼少期にゲーム音楽に感銘を受け、以後ゲームが趣味に。特にRPGについては、音楽と世界観との調和に拘りがある。
「ゲーム効果音の保護の可能性について考える
-すぎやまこういち先生を偲びながら」
https://www.kottolaw.com/column/211029.html
「ゲーム業界に学ぶオープン&クローズ戦略
~ゲームバー閉店報道を契機として」
https://www.kottolaw.com/column/001692.html
《講演者からのメッセージ》
最近、まだプレイしたことのない過去のゲームを掘り出そうとして、ソフトはあるのにハードがないためできない、逆にソフトが手に入りづらい、などといった事情で、プレイ困難な状況が生じる可能性に気づきました。
クラシック音楽が何百年もあとの時代まで受け継がれているように、ゲームも後世の人に永く伝えることができないかと考えるきっかけとなりました。
デジタルアーカイブには様々なハードルがありますが、我々はゲームアーカイブを通して何が障害かを洗い出し、ゲームという文化資産を後世に遺す方法を画策しています。
この度は、セッションを通して、アーカイブの重要性をお伝えできればと思っております。
大高 崇
1992年NHK入局。Eテレで放送するETV特集、福祉番組などの番組制作ディレクター、2012年から著作権契約の実務担当を経て、2016年から現職。放送アーカイブ活用にあたっての著作権、肖像権の権利処理の課題解決をテーマに研究・執筆。近著に「放送アーカイブを社会還元させるために NHK「回想法ライブラリー」活用の現場から」(デジタルアーカイブ学会誌)、「『絶版』状態の放送アーカイブ 教育目的での著作権法改正の私案」(放送研究と調査)、「放送アーカイブ活用と肖像権ガイドライン 過去の映像に写る顔は公開できるか メディアの未来に向けた考察」(NHK放送文化研究所年報2022) など
《講演者からのメッセージ》
ゲームアーカイブの利活用を促進するためには、乗り越えるべき数多くのハードルがあります。それは放送番組など他のジャンルのアーカイブにも共通する、デジタル時代ならではの課題です。現代日本が世界に誇るゲーム文化発信に向けて、共に考えてみませんか?