※ 本講演は、CEDEC2020, CEDEC2021講演『ゲームプログラマのための数学の歩き方』シリーズの続編ですが、内容につながりはありません。独立してご聴講していただけます。
画像や曲面の上で定義された実数値関数(スカラー場)やベクトル値関数(ベクトル場)を扱う
ベクトル解析は、力学や電磁気といった物理を記述するのに必須の言語ですが、ゲーム開発においては、煙, 炎, 水などの流体・パーティクルエフェクトにとどまらず、メッシュ処理にも用いられる応用範囲の広い基礎概念です。色々な場面で現れるので見かけたことのある方は多いかもしれませんが、さてベクトル場を用いたアルゴリズムを実装してみようとなると、数式をどうコードに直せば良いかといった疑問に行き当たります。本講演では、ボリュームやメッシュの上でスカラーやベクトル量の微積分を扱うための基本を紹介した上で、ベクトル場のデザインによる、編集可能な流体表現やテクスチャ・毛並みの表現といった応用に触れます。昨年度の講演同様、技術の土台となる数学概念を独力で学ぶための参考にしていただければ幸いです。
講演者プロフィール
長谷川 勇
オープンソース開発、ソフトウェアプロダクト開発、エンタープライズシステム開発などの様々な開発を経てゲームプログラマに。株式会社スクウェア・エニックスでは、Luminous Studio、FINAL FANTASY XVの開発に参加し、VFX・UIを担当。現在は産学連携による共同研究の仕組み作りに従事、2022年より現職。専門は言語処理系。ACM SIGGRAPH Asia 2018 Real Time Live! Chair、2021 Games Chair。共著『ゲームエンジニア養成読本』(Software Design plusシリーズ、技術評論社)。
《講演者からのメッセージ》
毎年書いている気がしますが、独力で数学を学ぶのって難しいですよね。
CEDEC2020, 2021に引き続き、高校数学と大学数学の壁を越える一助になれば幸いです。
鍛冶 静雄
"役に立つ"数学の開拓を目指す,九州大学マス・フォア・インダストリ研究所(Institute of Mathematics for Industry)にて,柔らかい幾何学・トポロジーを背景に形状処理や機械学習などの研究に携わる.日本評論社・数学セミナーにて2020年4月号から2021年3月号まで「かたちを算する」を連載.
《講演者からのメッセージ》
ちょっと使ってみたくなる,そんな数学をお伝えできればと思います.
落合 啓之
東京大学理学部数学科卒業、立教大学、東京工業大学などを経て、2006年名古屋大学多元数理科学研究科教授、2011年から現職。CEDEC 2013, 2014, 2021 で講演。SIGGRAPH ASIA, SIGGRAPH で安生健一氏とcourse。安生健一氏と書籍「Mathematical basics of motion and deformation in computer graphics」を執筆、日本数学会発行「数学」に依頼原稿を執筆。日本数学会市民講演会2018秋「数学とCG」など。
《講演者からのメッセージ》
2010年よりSIGGRAPH, CEDEC, MEISなどを通じて、数学とグラフィックスの橋渡しの活動をしています。講演中や講演後の質疑はとても楽しく、私にも得るものがたくさんあります。気軽に問いかけてください。