ゲーム開発ではプロジェクトが進行するにつれてプロジェクトの状況や優先事項が変化し、その変化はプロジェクトのゴールまで続きます。
『星のカービィ ディスカバリー』でのシステム・ツール開発は変化し続けるプロジェクトに向き合いながら開発をしてきました。
その結果、開発されたシステムやツールはプロジェクトにとって有益なものとなりました。
本セッションでは、プロジェクト中に開発された
・3Dマップエディタ
・ビルドシステム
・スクリーンショット撮影ツール
・C#スクリプトシステム
について、どのようにプロジェクトに寄り添ってきたのかをエピソードを交えて紹介します。
講演者プロフィール
中野 宏晃
『星のカービィ ディスカバリー』リードテクニカルプログラマー。
『星のカービィ Wii』、『星のカービィ トリプルデラックス』ではプログラムディレクター、『星のカービィ スターアライズ』ではリードテクニカルプログラムを務める。
『星のカービィ ディスカバリー』ではランタイム&非ランタイムのシステム設計・実装、および内製フレームワーク Frat Framework 開発チームとの連携を担当。
《講演者からのメッセージ》
『星のカービィ ディスカバリー』は「星のカービィ」本編シリーズ初の3Dアクションゲームとなり、既存の仕組みの見直しや新たな仕組みの作成が求められたプロジェクトとなりました。
これら仕組みを開発する際、過去2回のCEDEC講演でも発信した「開発環境制作では実際に使う人やチームを意識することが大事」という考え方に加え、長期にわたるプロジェクトで生じる様々な変化にも寄り添うことを意識しました。
本日紹介する仕組みそのものはもちろん、こういった制作時の考え方なども皆さんのお役に立てば幸いです。
鶴岡 友和
『星のカービィ ディスカバリー』では内製スクリプトシステム Basil を担当。
入社後、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』や『カービィのエアライド』などのゲーム開発に参加。その後も数本のゲーム開発を経験し、開発環境を開発する部署に異動。現在はスクリプトシステムやフレームワークの開発を行っている。
《講演者からのメッセージ》
ハル研究所ではプログラマーやスクリプターがよりクリエイティブな作業に集中できるように、独自のスクリプトシステムを開発し、活用しています。
『星のカービィ ディスカバリー』ではこのスクリプトシステムを CEDEC2019 で発表した独自プログラミング言語の Mint から、 C# で記述可能な Basil という新しいシステムに乗り換え、開発効率を上げることに成功しました。
本セッションではスクリプトシステムの乗り換えを決断するに至った経緯や設計、移行をしやすくするための工夫、最適化について紹介します。
鈴木 雄也
『星のカービィ ディスカバリー』では内製フレームワーク Frat Framework の開発を担当。
入社後いくつかのタイトル開発に従事し、『星のカービィ スターアライズ』ではキャラクタープログラムを担当した。
社内 Web サービスを運営するチームにも所属し、社内チャットの導入など、社内 Web サービスの整備も行っている。
《講演者からのメッセージ》
ツールを作った後、どうしてますか?作ったまま放置していたりしませんか?
ツールの利用者から要望を聞いたり、問題点を洗い出したりすると、ツールがさらに良いものになっていきます。『星のカービィ ディスカバリー』の開発では多種多様なシステムやツールが新規作成・導入されましたが、その多くがプロジェクトに寄り添いながら進化し続けました。
本セッションでは、開発の中で進化・変化し続けたシステムやツールたちを紹介します。