本セッションでは、ワンダープラネットの全世界同時配信・同時運営タイトルである「ALICE Fiction(アリスフィクション)」を例に、世界マーケットを見据えて1年間パフォーマンス・チューニングに取り組んできた内容と、そこから得られた知見やアプローチを解説します。
昨今のモバイル向けゲーム開発では、キャラクターや演出を始めとするアセットのリッチ化が加速しており、その量産体制やチーム規模も非常に大きくなっています。また、海外マーケットへの配信を視野に入れると、対象となるスマートフォン端末のSoCや画面サイズ、地域ごとのネットワーク状況の差異も広がることから、より多種多様な環境を考慮する必要が出てきます。このような状況の中、世界中のユーザーが常に満足できるようなプレイパフォーマンスを、どんなプロジェクトでも再現し続けることは難しい課題と言えます。それらを実現するためには目標や要件の言語化、レギュレーション策定、計測・観測、フロー整備、自動化など、体系的な方法を考慮しながら、開発序盤からチーム全体で意識的に取り組むことが重要です。
講演者プロフィール
吉谷 幹人
モバイルゲーム開発におけるサーバー・クライアントリードエンジニアの経験を複数経て、2018年にワンダープラネットへ入社。スタジオテックリードとして技術課題マネジメントや組織運営を主導。その後、全社横断組織EDMO(エドモ)のエンジニアリング担当かつCTOとして、社内の技術課題解決や基盤整備、社内標準化などに従事。著書に「Unity2021 3D/2Dゲーム開発実践入門」、「Unityゲーム プログラミング・バイブル(共著)」などがある。
《講演者からのメッセージ》
パフォーマンスチューニングは専門的な知識が必要な分野でもあります。エキスパートが参加していたり、成熟したチームではうまくできていることも、新規のプロジェクトや新しい体制でうまくワークするかはわかりません。どんな状況下やチームであっても最適化が成功するように、不確実性を少しでも減らすための知見を共有できればと思っています。