「何点だ~?」カラオケ採点のための歌唱評価技術

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日時:
2020年09月02日(水)14時15分〜15時15分
形式: レギュラーセッション(60分)
受講スキル:
・よりリアルな歌声に興味のあるサウンドクリエーター。 ・歌唱解析に興味のあるサウンドプログラマー。
受講者が得られるであろう知見:
・音楽的な表現のための歌唱技法。 ・歌唱技法の解析手法。 ・歌唱解析のための音声信号処理。 ・よりリアルな歌声を合成するためのノウハウ。
セッションの内容

 心に響く歌唱には、様々な歌唱技法が存在します。単に音符の音程を正しい長さで発声しただけの歌唱では、人を感動させることはできません。
 カラオケで歌われた多くの歌唱を分析し、音楽的に豊かな歌唱の音声の特徴量を研究してきました。従来の歌唱評価手法では、正確な音程で平坦に歌った方が評価されるため、バラード系の曲が多く歌われてきました。
 今回開発したAIを用いた新しい歌唱評価手法では、より音楽的な歌唱が評価されるため、近年のJ-Popなどの音程が変化する曲も歌われるようになり、選曲の嗜好が変化しました。
 より音楽的な歌唱のピッチ(音程)の動きをクラス分けし、実際の歌唱の変動パターンについて解説します。
また、歌唱のための高精度なピッチ抽出技術について解説します。このような歌唱解析技術は、歌唱を用いたゲームへの様々な可能性を提示します。
 音楽性の高い歌唱の持つ音声の特徴量の知識は、よりリアルな歌声合成を可能にします。実際の歌声によるデモンストレーションを交えながら、様々な歌唱技法について解説します。


講演資料

  • CEDEC2020_SS_KaraokeSaiten.pdf

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講演者プロフィール

押見 正雄

押見 正雄
所属 : 株式会社 CRI・ミドルウェア
役職 : 代表取締役社長

1987年 早稲田大学理工学部機械工学科卒。
同年  人工知能研究者としてCSK総合研究所(CRI)に入社。
1990~2001年
    セガサターン・ドリームキャストの映像・音声関連のシステムソフト開発に従事。
1995年 サウンドミドルウェア CRI ADXを開発、販売。
2001年 CRI・ミドルウェアの創業メンバーとして参画。
2013年 同社代表取締役就任。

音声・映像の技術が大好きなオヤジエンジニア。

《講演者からのメッセージ》
歌い手が感情や表現したいことを込めることで、心に響く名曲は生まれます。
正確な音程と長さで歌うだけではなく、歌声に様々な変化を持たせることで、切なさや優しさが表現されます。共同講演者の橘氏は、20年以上、カラオケ採点のために様々な歌唱技法を研究してきました。歌唱の持つ微妙な変化を分析するためには、高度な音声解析技術が必要です。歌唱解析のための音声解析技術と音声特徴量の変化による表現手法についてお話します。このセッションが皆様のゲームサウンド制作の一助になれば嬉しいです。

橘 聡

橘 聡
所属 : 株式会社 第一興商
部署 : 開発本部 商品開発部 技術課
役職 : チーフ

1995年 株式会社第一興商に入社。
    業務用通信カラオケ機器の情報サービス開発チームに配属。
同年  カラオケ採点コンテンツ企画・開発を開始。
    「音程・リズム・声量」を評価する採点コンテンツを配信。
2003年 「ビブラート・抑揚」を評価する「精密採点」を配信。
2007年 「見えるガイドメロディー」を搭載した「精密採点Ⅱ」を配信。
2010年 「分析レポート」を搭載した「精密採点DX」を配信。
2015年 総合得点の計算を4種類搭載した「精密採点DX-G」及び、
     デュエット曲をパート毎に採点する「精密採点DXデュエット」を配信。
2019年 「Ai感性」を搭載、総合得点をリニューアルした「精密採点Ai」を配信。

《講演者からのメッセージ》
表現方法はいくらでもある「歌」は、本来は採点できるものではありませんし、
そもそも採点して良いかどうかさえ疑わしく、常に頭を悩ましております。
しかし同時に「歌」には、人の生き方を変えるほどの大きな力があると感じ、
だからこそ、多くの人に歌を楽しんでもらいたい、という思いを持っております。
その入り口として、あえて「歌」を採点するとき、なるべく多くのヒントを見つけて
できるだけ人が聞いた印象に近い得点に変換していきます。
今回の講演で「歌」に対して、さらに興味を持っていただけたら幸いです。