「新しい技術の導入」とひとえに言っても、担当者が先端技術を知識として取り入れることから、試作を含む社内技術研究プロジェクトを通じて獲得するまで様々な規模での取り組みがあります。
研究開発の社内プロジェクトは、会社の持ち出しプロジェクトになることが多く、自社投資の判断になることが多いことだと思います。
研究開発プロジェクトはR&Dエンジニアがリードを担当することがありますが、投資を判断する層は非エンジニアや現場の技術から離れた層であることも場合も多く、会社の中でも対極にある人間同士がコミュニケーションをとることになり、技術を技術として伝えることでは伝わらず投資を判断させるのは難しくなるケースがよく見受けられます。
本セッションでは、R&Dプロジェクトを率いることになったR&Dエンジニアが、技術を技術として伝えることの難しい環境で自社の強みのある分野を伸ばすため技術研究プロジェクトをどう進めるかの事例や知見を紹介します。社内の様々なセクションに味方を作り協力を得ながらやってきた数年の事例を紹介します。
事例として、キャラクター技術のR&Dのために自社キャラクターを作り、「技術を技術として伝える」ことが難しいを突破するためにキャラクターを作ったプロジェクト「ミライ小町」プロジェクトを使った事例を紹介していきます。
講演者プロフィール
髙橋 誠史
株式会社バンダイナムコ研究所所属
1980年生まれ、北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科博士後期課程単位取得退学。
2009年、株式会社バンダイナムコゲームス入社。2012年度より、株式会社バンダイナムコスタジオ所属に変わり2019年より現職。
バンダイナムコゲームス、バンダイナムコスタジオでは、家庭用ゲーム開発、社内ライブラリ開発、グラフィックスR&D、VR試作プロジェクトなどを経て、バンダイナムコ研究所では、グラフィックス、AIといった先端技術研究を行う先端技術部の課長を務める。R&Dチームのマネジメントやバンダイナムコ研究所のR&Dプロジェクトのディレクションや「ミライ小町」プロジェクトのテクニカルディレクションを担当。
《講演者からのメッセージ》
ゲーム会社のR&Dは従来、社内ゲームエンジンやライブラリ、AAAタイトルのための研究投資が多かったと考えますが、近年、ゲームの開発で培った技術やR&Dの成果をゲーム以外の分野に活用したい、みたいな動きは広がっているように感じます。
企業によっては、研究会社まで作ってしまうところも増えてきており、R&Dエンジニアのキャリアパスとして研究開発ディレクターへの道というのも1つのパスとしてあるのではないかと考えています。そうしたところを目指す企業の方や研究者の方などと考えるきっかけになればと思います。