ディープラーニングは今や産業用ロボットの分野において、組み込み用途でも活用され始めていますが、まだゲームにおいて実機上で活用したという例を多くは耳にしません。スマートフォンや家庭用ゲーム専用機といった実機上で推論することを本セッションでは”エッジAI”と呼びたいと思いますが、果たしてエッジAIはゲームにはまだ早いのでしょうか?
本セッションでは、そんな皆様の疑問を払拭するのが狙いです。そのために、ディープラーニングのフレームワークやバックエンドの選定、またAOTコンパイラを通じてC++用の静的ライブラリを出力したり、モデルを実機性能に合わせてチューニングするといった実現手法を述べた上で、エッジAIを活用した実機デモをお見せします。具体的には、スマートフォン上で超解像や圧縮ノイズ除去といった画像処理を、動画像に対しリアルタイム(0.01msオーダーの計算時間)で適用し、データサイズを抑えつつ画質を高めるための取り組みについて重点的にお話しします。本セッションを通じて、ディープラーニングがゲーム体験の向上にどう役立てられるか?という点をお伝えできれば幸いです。
講演者プロフィール
竹村 伸太郎
奈良先端科学技術大学院大学卒。 2008年バンダイナムコゲームス(現バンダイナムコエンターテイメント)入社。 2012年より現職。2児の父。
過去にはグラフィックスや自然言語処理の研究、またデータ分析やそのインフラ構築などに携わっていました。機械学習やAI活用については、モデル設計、実機組み込み、Unityなどゲームエンジンとの連携、そしてサービス運用(MLOps)と、手広くやっておりますのでお気軽にご相談ください。
過去の講演
ゲームメーカー目線で Azure を活用した開発インフラのクラウドシフトとアプリ設計事例紹介, de:code 2019
分析業務をブーストするBIツール活用術, CEDEC 2017
アプリマーケット情報を活用して、ログに頼れない分析に立ち向かおう, CEDEC 2015
データ活用で生産性UP!統計分析を伴うツール開発の舞台裏, CEDEC 2011
《講演者からのメッセージ》
今回は発表時間の都合上、ディープラーニングによる画像処理に限定したトピックとなりますが、その範囲内でわかりやすく実装ノウハウをお伝えできたらと思います。