プレイヤーやゲームの状態に応じてゲームデザインをダイナミックに変化させるメタAI技術が近年発展しつつあります。しかし、実際にメタAIをゲームに組み込もうとすると、メタAIによって変化するゲーム要素の設計や、ゲームの変化とプレイヤーの感情変化との対応関係の設計が難しい問題があります。本セッションでは、プレイヤーの感情を「勝利への期待感」と「敗北への不安感」の組み合わせで表すことでこれらの問題を解決するメタAIの具体的な手法と作り方を説明します。また、メタAIと連携してバランス調整を支援するゲームプレイ分析ツールを開発し、弊社でのゲーム制作に利用したことで得られた知見を紹介します。
講演者プロフィール
里井 大輝
2017年、筑波大学大学院修了。博士(工学)。同年より株式会社スクウェア・エニックスにて『キングダム ハーツIII』などのゲームタイトルにおけるAIシステムの実装や運用サポートを担当するほか、ゲームAIに関する新規技術の研究開発に従事。
主な発表歴
・「Unified Motion Planner for Fishes with Various Swimming Styles」(SIGGRAPH 2016)
・「Changing the Game: Measuring and Influencing Player Emotions Through Meta AI」(GDC 2019)
《講演者からのメッセージ》
メタAIは、他のゲームAIと比べて導入方法や得られる効果がわかりにくいですが、効果的に用いればゲームを面白くするための強力なツールとなりうる技術です。
本講演を通じてメタAIを「明日から使える!」と思っていただければ幸いです。