ゲーム開発技術の歴史は、これまで、数例を除いて編纂されたことはありませんでした。そこで、デジタルコンテンツ協会では、ゲーム開発分野のそれぞれの領域において著名な開発者、研究者に、その分野の歴史を包括的に描いて頂くことで、それぞれの分野の系譜を明らかにすると共に、ゲーム開発技術全体の流れを把握するという試みを、2008年度から行なっており、昨年度の成果は報告書という形で結実しています。今回はその試みを紹介すると同時に、特にゲームAI分野の歴史とこれからの展望について解説します。
講演者プロフィール
三宅 陽一郎
1975年兵庫県生まれ。京都大学(数学)大阪大学(物理学修士)東京大学博士過程(単位取得満期退学)。2004年フロム・ソフトウェア入社。CEDEC2006「クロムハウンズにおける人工知能開発から見るゲームAIの展望」講演。AOGC2007、KGC2007、CEDEC2007-2008招待講演。DCS2008船井賞。IGDA日本、ゲームAI連続セミナー講師。 DCAJ委員、DiGRAJAPAN研究委員、人工知能学会会員。IGDA日本SIG-AI世話人。論文「ディジタルゲームにおける人工知能技術の応用」(人工知能学会誌 2008/1)ブログ「y_miyakeのゲームAI千夜一夜」(IGDAJ)
講師からのメッセージ
今年のCEDECでは、去年のAI Day に続いて、AI分野の講演を企画・編成しています(全てではありません)。学術と産業のAI、それぞれ3つの講演を用意し「産業と学術のAIを考えるパネルディスカッション」や「ゲームAIラウンドテーブル」を加えて、計8セッションを企画しています。具体的なゲーム事例紹介こそありませんが、これまでの、そして、これからのゲームAIのための知識体系をご紹介できればと思います。どうすればゲーム開発におけるAI技術を導入できるのか、また、今使用している技術をどう発展できるのかを考え始める端緒として活用して頂ければと思います。ご参加をお待ちしています。
須藤 智明
1994年よりゲーム会社において、スーパーファミコン用ソフトの開発を行う。
1995年より専門学校においてマルチメディア関連の講師となる。
1998年より財団法人マルチメディアコンテンツ協会(現在の財団法人デジタルコンテンツ協会)に就職し、主に国からの委託事業を中心とした研究開発関連の事業を担当する。
2007年より「デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究(委員長:東京大学 馬場章教授)」において、ゲーム開発技術の動向調査を実施している。(報告書は下記URLを参照)http://www.dcaj.org/report/index.html