スクウェア・エニックスでは、普段公開されることの少ないゲーム産業における人工知能技術を、全国の大学の学生・教員に向けて紹介する活動を「AIアカデミー」として続けている。広く教育機関、産業にゲーム産業におけるAIの知見を供与することで、大学・専門学校・ゲーム産業における人工知能教育を促進し、さらには将来、人工知能を専門として、ゲーム産業で活躍する人材の育成に繋げることが目的である。2014年度は学生様を全国から公募し作文によって選抜し、全5回のセミナーを2度開催した。選抜人員は30名であり、殆どが全5回を通して出席した。
各セミナーはゲーム産業における人工知能技術の導入のカリキュラムのフレームを準備し、講演1時間と演習2時間からなる。本講演では、全5回の内容のフレームを説明することで、現在のゲームAIの導入部分の教育課程を説明する。また演習は、抽象的な概念を作業を通じて習得する演習となっており、そのワークショップの実例と様子を解説する。
http://www.jp.square-enix.com/dgl/academy/
講演者プロフィール
三宅 陽一郎
京都大学で数学を専攻、大阪大学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程(単位取得満期退学)。デジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事。IGDA日本ゲームAI専門部会設立(世話人)、DiGRA JAPAN 理事、人工知能学会会員。共著『デジタルゲームの教科書』『デジタルゲームの技術』 翻訳監修『ゲームプログラマのためのC++』『C++のためのAPIデザイン』(SBCr)『はじめてのゲームAI』(WEB+DB PRESS Vol.68、技術評論社)。ゲームAIラウンドテーブル・オン・ツイッターを主催。最新の論文は『デジタルゲームにおける人工知能技術の応用の現在』(人工知能学会誌 Vol.30, Webで公開)。論文、講演資料はブログを通じて公開している。「y_miyakeのゲームAI千夜一夜」http://blogAI.igda.jp
《講演者からのメッセージ》
今年は3つの講演を行います。まず、最新のゲームAIの成果を取り込んだキャラクターAIの開発です。主に、RPGにおける意思決定における実装とツールをご紹介いたします。次に、2014年に行ったスクウェア・エニックス アカデミーについてのご報告です。これは、なかなか学ぶ環境のないゲーム産業におけるゲームAI技術を全五回に渡って講演・演習のカリキュラムを組んで実施したもので、その全体像をお知らせします。最後に「人狼知能」コンテストです。こちらは予選を行い「人狼」におけるAIを対戦するエキサイティングな大会です。是非、予選にも参加してください。「人狼知能」プロジェクト http://www.aiwolf.org/