近年Mixed Reality(MR)技術が注目されているものの、デバイスの性能などに議論が終始しており、魅力的なMRコンテンツを開発するための知見は、広く共有されていません。そこで本セッションでは、エンターテインメントとしてのMRコンテンツを実現する為の、オプティカルシースルー型MRとビデオシースルー型MRの選択基準、センサ情報処理のアーキテクチャ、ポジショントラッキング手法、MR固有のインタラクションの実現方法について、当社での1年間の開発で得られた知見を開示します。また、既存のMR技術の限界や問題点について、またその可能性を押し広げるためのアプローチを発表します。
講演者プロフィール
和泉澤 稔
経歴:
ゲーム業界歴28年。コンシューマー、アーケード、PC、ソーシャル等様々なジャンルにてリードエンジニアを務めながら、マネージメントにも携わる。ゲーム業界における先進的な取り組みに数多く従事し、エンドユーザ向け組み込み機器を対象としたAR技術開発や、プロジェクションマッピングを活用したゲーム開発を、ソフトウェア側エンジニアのリーダーとして牽引してきた。2016年から株式会社Cygamesに所属し、ハイエンドゲームやMRゲームの開発を推進している。
《講演者からのメッセージ》
様々な可能性を秘めているMRを活用して、様々な業界で先進的な取り組みが行われており、ここゲーム業界でも、日夜、チャレンジが繰り広げられていると思います。本セッションでは、既存のMR技術の限界を考慮しながらMRゲームの「面白さ」を追求する、私たちの試行錯誤のプロセスと、そこから得られた知見について共有いたします。また、エンターテインメントとしてのMRコンテンツを実現する為に、今後必要となるゲーム企業における技術開発の方向性を示します。
川上 智弘
経歴:
コンシューマーゲーム開発会社を経て、2015年より株式会社Cygamesへ所属。エンジニアとしてゲーム開発全般に携わり、RPGタイトルなどを数多く手掛ける。大掛かりな体験型ゲームの開発にも従事し、プロジェクションマッピングを活用したゲーム開発なども行ってきた。現在はVR、MRの研究開発やゲームエンジンの検証など、幅広い分野の技術開発に従事している。
《講演者からのメッセージ》
Optical See-through形式のHMD (Microsoft社製HoloLens)を使用し、エンターテインメントとしてのMR研究開発を行った際に得られた知見を、CEDEC参加者の皆さんと共有できればと思います。特に、新しいデバイスを対象とした試行錯誤のプロセスと、その中から抽出したノウハウは、HMDを用いたMR技術を、「面白さ」「感動的な表現」に繋げていくうえで、再利用性の高い知見と思いますので、是非、お気軽にご参加ください。
石山 英俊
経歴:
大学院にてリアルタイムカメラ画像処理に関する研究に従事。ソフトウェア開発職を経て、2015年より株式会社Cygamesに所属。リサーチャーとして、AR/MRに関するデバイスのポジション・トラッキング技術の研究開発に従事している。実装と並行して、IEEEなどの学術国際会議での発表も行い、技術の発展と普及に努めている。
《講演者からのメッセージ》
本講演の後半では、スマートフォンのカメラを通して得られる映像にCGをリアルタイム合成する、ビデオシースルー型のMRをご紹介します。実空間の構造やプレイヤーの動きをリアルタイムに反映する臨場感の高いMRを、一般的なスマートフォン上で実現するために、弊社では、新たな「位置姿勢推定アルゴリズム」を開発しました。これは、ユーザが持つスマートフォンが、実空間のどこで、どの方向を向いているかをリアルタイムに算出する手法です。本講演の後半では、この新アルゴリズムを詳細に解説するとともに、開発の過程で得られたビデオシースルー型MRの知見とノウハウを共有いたします。