カプコンで現在開発中の新規タイトル『MONSTER HUNTER: WORLD』における、技術的課題を解決するためのテクニカルディレクションの取り組みと、エンジニアとその他セクションとのコミュニケーションの促進や、システムに対する要求の最適化を図るためのエンジニアマネージメントについて説明いたします。
本タイトルでは、今世代の高いグラフィックス要件への対応や、ハード性能を引き出すためのシステム開発エンジニアのセクションをゲーム開発チームの中に置き、アーティストやゲームプログラマとの密な連携をおこなっています。
また、昨今の大規模タイトルでは技術面が着目されることも多く、ユーザーアピールとしても重要視されてきています。本タイトルでは、そういった基盤技術の開発エンジニアからは遠い関係になりがちなディレクター、プロデューサーとも製品仕様の検討から会話をおこなっています。
ゲーム開発には切っても切れない「技術」に関するディレクションおよびマネージメントについて、本タイトルでおこなっている施策やその根底となるマインド、そこで得られた知見について共有いたします。
講演者プロフィール
大井 勇樹
経歴:
2003年株式会社カプコン入社。
ゲームプログラマとして「戦国BASARA」シリーズや「BIOHAZARD 5」等の
プロジェクトに参加後、内製ゲームエンジン「MT FRAMEWORK」
開発チームへ移籍、エンジンプログラマへ転向。
現在は、テクニカルディレクション、テクニカルサポート、
プロジェクトマネージメントといった様々な業務をおこないつつ、
開発者全体がハッピーになるための施策を日々模索、実践中。
CEDEC2012「あなたのゲームエンジンをもっと多くの人に使っていただくために」
CEDEC2015「カプコンにおけるゲームプログラマのキャリアパス」
CEDEC2015「カプコンVS全学生!CAPCOM GameJamで生まれた学生とカプコンとの絆」講演。
《講演者からのメッセージ》
ゲーム開発において、プログラマは様々な問題に直面するわけですが、
「技術」の問題と同等かそれ以上に複雑で難しい問題が「人」の問題だと思います。
どれだけ優秀なプログラマが揃っていても、プロジェクトによってうまくいくもの、そうでないものがあります。
同じ開発者が関わっているにも関わらず、そういった違いが生まれるのはなぜなのかといえば、
そういった開発者同士の「つなぎ」の部分がプロジェクトによって異なるからではないかと考えています。
専任であれ兼任であれ、開発者同士をつなぐ役割の人が、近年のゲーム開発プロジェクトでは不可欠です。
きっと皆さんのチームでも、気がつけば自分がそういうことをしているな、という方はいるかと思います。
そういった方々へのヒントと、モチベーションにつながるお話ができれば幸いです。