昨年は「FINAL FANTASY XV -EPISODE DUSCAE- におけるキャラクターAIの意思決定システム」にて、FFXVにおけるAIの基礎システムについて講演しました。今年は、そのシステムの上に構築された様々なコンテンツについて解説します。
まず、ゲーム制作上大きな課題となったレベルとAIの付き合い方を中心に、AI全体を俯瞰する「メタAI」を活用したいくつかのシステムを紹介します。
次に、プレイヤーキャラクターに対して、仲間やモンスターと同じAI制御システムを導入し、ユーザー操作とAI制御を共有した事例について説明します。
最後に、モンスターのAI実装について、バトルのパラメータを自動的に調整するシステムなどの解説を通して、多様なモンスターに対する多様な要望への対応例を紹介します。
AI技術がどのようにコンテンツを成立させていくか、いかにゲームの要求に応えていくかを学ぶことができます。
講演者プロフィール
上段 達弘
2011年より株式会社スクウェア・エニックスに入社。
ゲームエンジンLuminous Studioの開発に携わり、主にツール周りの実装を担当。
現在はFINAL FANTASY XVチームにて、仲間キャラクターのAIを制作するチームに所属し、仲間全体をコントロールするメタAIなどの開発を担当。
《講演者からのメッセージ》
AIってかわいいですよね。よくできたAIほど「意思」が感じられます。
時には開発者の予想の範疇を超えて(バグ?)、自由に動き回ってくれます。
でも残念がら、ゲームのAIは自由意志のみでは成り立ちません。
レベルによって決められた時間に決められた位置に行き、決められた行動を取る必要があります。
それでいて、「後はいい感じに」です。
本講演では、我々が直面した課題とそれに対する解決策をご紹介します。
出来るだけ実のある、見ているだけで楽しいような講演を目指したいです。
目指します。
下川 和也
2013年株式会社スクウェア・エニックス入社。
Luminous Studioのツール開発を経て、現在はFINAL FANTASY XVチームにてキャラクターAIの開発に従事。
主に仲間キャラクターのバトルや、昨年の講演(FINAL FANTASY XV -EPISODE DUSCAE- におけるキャラクターAIの意思決定システム)で
紹介された「AIGraphEditor」の開発を担当。
《講演者からのメッセージ》
FINAL FANTASY XVでは、様々な状況に対応するため、いくつものAI制御システムを組み合わせてキャラクターを動かしています。
本講演では、プレイヤーや仲間のキャラクターがどのようなAIで動いているのか、実例をご紹介いたします。
高橋 光佑
2013年 工学院大学大学院情報学専攻 修士課程修了
2013年 株式会社スクウェア・エニックス入社
Luminous Studioの開発に携わり、現在はFINAL FANTASY XVの開発に従事。AIを用いた対面式会話システムの開発、様々なAIキャラクターで利用できる汎用AIのモード切替システムの開発を主に担当。
《講演者からのメッセージ》
本講演では、昨年(2015年)での講演「FINAL FANTASY XV -EPISODE DUSCAE- におけるキャラクターAIの意思決定システム」でご紹介した基礎システムを用いた、具体的なコンテンツを紹介します。
どのようにして「コンテンツを組み上げたか」を説明することにより、イベントのシームレス対応やブラッシュアップ効率化に不可欠だった、基礎システムの重要性が伝われば幸いです。
並木 幸介
2008年より株式会社フロム・ソフトウェアにてAIプログラマとして「重鉄騎」「モンハン日記 ぽかぽかアイルー村」を開発。
2012年、株式会社スクウェア・エニックスに入社。AIプログラマとしてLuminous Studioの開発に携わる。
現在はFINAL FANTASY XVチームにてエネミーキャラクターの開発を担当。
《講演者からのメッセージ》
FF15の様々なエネミーがどのようなAIで動いているのか、昨年度に続き、実例を交えてご紹介いたします。
FFのAIに興味のある方は、ぜひご来場ください。