複数の魚眼レンズで構成された360度映像用の市販のカメラや、リグで複数台接続されたアクションカメラによって撮影された複数の映像は、撮影してすぐに見られるというわけではなく、プログラムやツールによって1つの映像に張り合わせる作業が必要です。
この作業はイメージ・スティッチングと言われ、通常はカメラ会社の提供するコンバーターやアプリケーション、もしくは職人的なスキルを必要とする市販のツールによって行います。
しかし、Shaderを書いているゲーム開発者であれば、魚眼レンズの歪曲補正のスキルを追加で学ぶことで、こうしたツールやアプリケーションの構造を理解し、自分で開発、もしくはアレンジできるようになります。また、動画ではなくライブ・ストリーミングを行う場合は、自分でイメージ・スティッチングを実装できることが有利になります。
本講演は、複数の魚眼レンズの映像から1つの360度映像を得るために、魚眼レンズの仕様などの情報集めから、リアルタイム・イメージ・スティッチングのShader実装までを解説します。
また、この技術の実例としてDeNAのライブ・ストリーミングサービス「SHOWROOM VR」の紹介や、投影アルゴリズムをアレンジした「リトルプラネット」のようなイフェクトの解説も行います。
講演者プロフィール
小倉 豪放
1994年より現・株式会社セガゲームスにてゲーム開発に携わる。バーチャファイター・シリーズ、シェンムー・シリーズなどのビジュアルイフェクト、モーション、物理演算、3Dライブラリを担当、その後マイクロソフトにてBlue Dragon、NINETY-NINE NIGHTSなどの開発サポート、そして無職、株式会社フィジオスのスタートアップなどの紆余曲折を経て、現在株式会社ディー・エヌ・エーへ。現在、SHOWROOM VRの立ち上げを行う。
ほぼ20年にわたって技術サーベイ、プロトタイピング、プロジェクトローンチを業務とする。
CEDEC運営委員。
《講演者からのメッセージ》
マネタイズまでのルートなどが定式化され、ゲームと呼ばれるものが窮屈味を帯びてゆく昨今です。一方で、コンピューター・エンターテインメント全般を見渡すと、1つのオンラインサービス開発においても、謎のデバイスからサーバーまで様々な要素を繋げつつ、ビジネスとしていろいろトライできる時代にあります。
こうした時代を「吉」と見ていろいろ活動されている方々と交流したいと思います。