CGにおける半透明物体のレンダリングは,シーンのリアリティを向上させる上で重要な技術です。しかし,半透明物体のレンダリングは依然として計算負荷が大きく,高速化された手法でも,内部に空洞などを含むと正しく描画されないという問題点があります.
本セッションでは,透明度が高く,内部に複雑な構造を有するような不均一半透明物体のためのリアルタイムレンダリング手法を紹介します.まず事前計算として,物体表面をサンプリングし,各サンプリング点間の光学的厚みを計算,その後テクスチャに格納しておきます.続いて,リアルタイム処理部分で,事前計算された光学的厚みと,リアルタイム生成される複数のマップを用いて放射輝度の計算をおこないます.本手法を用いることで,空洞や異なる媒質を内部に含むような半透明物体をリアルタイムで描画することが可能となります.
講演者プロフィール
持田 恵佑
早稲田大学 先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 森島研究室修士1年生.
リアルタイムレンダリングに関する研究をしている.
Eurographics 2016 poster発表
Visual Computing / グラフィックスとCAD合同シンポジウム 2016 poster発表
《講演者からのメッセージ》
ショートセッション及びインタラクティブセッションにて、不均一半透明物体のリアルタイムレンダリングに関する研究を発表させていただきます.是非皆さまの貴重なご意見お聞かせいただければと思います.
森島 繁生
東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。成蹊大学工学部教授を経て、早稲田大学先進理工学部応用物理学科教授、現在に至る。これまでトロント大学客員教授、ATR客員研究員、NICT客員研究員等を歴任。SIGGRAPH ASIA 2015 Workshop/Partner Event Chair, 画像電子学会2016年次大会長。研究室では、学生約30名がモデリング、レンダリング、シミュレーション、アニメーション、モーション制御、ノンフォトリアリスティックモデリング・レンダリング、画像処理、音楽情報処理、コンテンツ分析・合成等の研究に従事している。CEDECではここ数年連続してショートプレゼンおよびインタラクティブ発表を行っている。画像電子学会副会長、芸術科学会理事、日本顔学会理事。
《講演者からのメッセージ》
今回、早稲田大学先進理工学部森島研究室から3件の発表がございます。1つは口と音声の同期を3次元モデルや言語モデルを一切介さずに画像処理的に行う手法であり、オリジナルの映像ソースのみから、声優の喋る任意の言語への吹き替えが自動的に実現可能です。2つ目は、半透明物体の高速レンダリングで、動的計画法を導入することによって形状変形を伴う物体のアニメーションをリアルタイムで描画することが可能となりました。3つ目は、トランスルーセントシャドーマップの改良で、ボトルに入ったワインなど複数のマテリアルを含む半透明なオブジェクトをリアルタイムで描画できるようになりました。是非、ご興味のある方は会場にお越しください。