現行機(Xbox360、PS3など)の開発を通して得たノウハウを基に次世代を見据えた「カプコンが考えるサウンド制作方法の提案」をしていきます。
弊社で取り組んでいるゲームサウンド制作における具体的なリファレンス環境の構築方法を例に挙げ、その実践的な方法を説明します。またカプコンサウンドの核(コア)であるMT Frameworkのサウンドエンジンを使った制作方法も公開します。シグナルリファレンスの重要性などプロオーディオよりの解説を加えつつ、そのプロオーディオの概念を如何にしてサウンドエンジンに組み込み、どう考えてサウンド制作を行っていけばよいのか?限られた時間で高いサウンドクオリティを出すために取り組んでいる方法の紹介を基に、「カプコンが考えるサウンド制作方法の提案」をします。
講演者プロフィール
岸 智也
2001年カプコン入社。「鬼武者」シリーズでサラウンド技術を駆使した制作を行い、ミキシング技術のインゲームサウンドへの影響力を認識。現行機ではその技術を盛り込んだ形で「ロストプラネット」のサウンドディレクターを務める。
現在はMTフレームワークのサウンドドライバを制作するチームの一員でもあり、カプコンサウンドの運用方法や制作環境の構築などを行いつつ、サウンドディレクターとしてライン業務をこなしている。
●受講者へのメッセージ
ゲームサウンドのクオリティを決定付けるのは個々の音はもちろん、最終的なミキシングで大きく結果が変わってきます。しかし、その重要なはずの最終的なミキシングは締め切り間際で十分な時間がかけられないことが多々あります。そのような状況下で、より良い制作環境はないか?と思案した方法を今回は公開します。各社、制作環境は様々だと思いますが、今回のセッションでは比較的シンプルなシステムで十分な結果が得られる方法を提案しておりますので、皆様のお役に立てるのではないか?と考えております。
あくまでもカプコンの考える制作方法の提案ですので、もっと良い方法があるかもしれません。日々の制作の中でより良い方法が見つかるかもしれませんし、もっと良い方法を既に知っていらっしゃる方々もいると思います。このセッションを機に、ゲームサウンド制作における情報交換が行える場を作って行けたらと考えております。
瀧本 和也
1992年、東京のポスプロスタジオ業務に就き、放送、映画等のミキシングを経験後、1997年にカプコンに入社。入社後はバイオシリーズ、デビルシリーズ等、カプコンのほぼ総てのタイトルに関わり、ムービーシーンのミキシング、楽曲のレコーディング、ミキシング等を担当。
また、ゲーム音響制作現場のシグナルリファレンス策定や、現場環境の整備、ゲームの発音に関するミキシングの視点からのアイデアを制作者と議論し、クオリティアップの下支えを行っている。
小森 繁伸
2001年カプコン入社。サウンド専門のプログラマとして、サウンドドライバの開発・サウンドの技術研究などを業務とする。
近年では、アーケードのカードゲーム「ワンタメミュージックチャンネル」をはじめ、現行機では「デッドライジング」「ロストプラネット」「デビルメイクライ4」で使用したMTフレームワークのサウンドドライバを開発するなど、プラットフォームを問わず携わったタイトルは幅広い。