近年、ゲームグラフィックスにおいて大域照明の近似手法や物理ベースのレンダリングなどが盛んに研究開発され、ゲームに用いられるようになってきました。これらのアルゴリズムで解こうとしているのはレンダリング方程式であり、その解を求める有力な方法としてモンテカルロレイトレーシングがあります。レンダリング方程式の解を求める方法の仕組みを知っておくことは、リアルタイムの手法においてどのような近似をするべきかなどの決定をするのに役立ちます。本セッションは昨年までのセッションである”モンテカルロレイトレーシングの基礎からOpenCLによる実装まで“の続編という位置づけになります。これまでのセッションではパストレーシングの理論と実装の説明を行いましたが、本セッションではパストレーシングが苦手とするようなシーン(収束が悪い)でも、速く収束する双方向パストレーシングについて説明します。まず双方向パストレーシングを理解するために必要な基礎的な知識について説明し、双方向パストレーシングのアルゴリズムの説明に移ります。双方向パストレーシングのアルゴリズムの説明ではクラシカルなアルゴリズムについて説明し、その後GPU上での実装に適したアルゴリズムを二つ説明し、それらをどのようにOpenCLのカーネルとして実装したかについて説明します。最後にパストレーシングのコードを元にどのように双方向パストレーシングに拡張したかについて説明していきます。
講演者プロフィール
Takahiro Harada
Takahiro Harada is a researcher in AMD's office of the CTO where he is exploring the possibility of GPU computing, mainly focusing on application to physics simulation. Before joining AMD he engaged in research and development on real-time physics simulation on not only PC but also game consoles at Havok. Before coming to industry, he was in academics as an assistant professor at the university of Tokyo where he also earned his Ph.D. in engineering.
Publications
- GPU Pro 6
- GPU Pro 5
- GPU Pro 4
- ゲーム制作者のための物理シミュレーション 剛体編
- Computer Graphics Gems JP 2012
- Heterogeneous Computing With OpenCL
- Game Physics Pearls
- etc...
《講演者からのメッセージ》
アカデミックな書籍等で読むと難しそうに書いてあることも、実際はそんなに難しくないことが多いです。参加していただいた方々に本題を直感的に分かりやすく理解してもらうことができるような講演を目指します。
池田翔
2015年 広島大学 大学院工学研究科 情報工学専攻を修了。現在は株式会社リコーに勤務中。
《講演者からのメッセージ》
OpenCLやBDPTに興味のある方は是非聞きにきて下さい。OpenCLでBDPTを実装したくなるような講演になるよう頑張ります!!