1.目的
人肌や大理石など、半透明物体のリアルタイムレンダリング
2.概要
多重散乱が支配的な半透明物体に対して、物体の曲率に注目し、表面を局所的に球面で近似することで表面下散乱の影響をリアルタイムに計算し、描画する手法をご紹介します。
本研究で新たに提案する、曲率に依存する反射関数(Curvature-Dependent Reflectance Function;
CDRF)によって、本来は大域照明モデルで説明される現象である表面下散乱を局所照明モデルで近似します。
3.特徴
3.1 リアルタイムレンダリング
本手法は、半透明物体における光の散乱現象をあくまで近似的に、フェイクとして表現するものです。物体の大局的な形状を考慮しないため物理的に厳密なライティングはできませんが、局所照明モデルとして簡易で高速なレンダリングが可能です。
3.2 反射特性を容易にデザイン
さらに本手法では、散乱強度を制御するパラメータはRGB各チャンネルに対してそれぞれ1つだけであり、値の操作に対して物体の放射輝度の計算はインタラクティブに実行可能なため、物体の反射特性をデザインするのにも有効な手段です。
講演者プロフィール
久保 尋之
2006年早稲田大学理工学部卒業.2008年同大学院博士前期課程修了.現在,同大学院博士後期課程に在学中.2008年より日本学術振興会特別研究員(DC1).
土橋 宜典
1992年広島大学工学部卒業.1994年同大学大学院工学研究科博士課程前期修了.1997年同博士課程後期修了.同年広島市立大学情報科学部助手.2000年,北海道大学大学院工学研究科助教授.2004年,同大学院情報科学研究科助手.2007年,同准教授.主として,コンピュータグラフィクスに関する研究に従事.博士(工学).
森島 繁生
1987年東大・工・大学院電子工学専門課程博士修了,工博.同年成蹊大学工・電気工学科専任講師,1988 年同助教授,2001 年同電気電子工学科教授.2004年早稲田大学先進理工学部応用物理学科教授,現在に至る.1994年から1995年トロント大学コンピュータサイエンス学部客員教授, 1999 年より2008年国際電気通信基礎技術研究所客員研究員.現在,明治大学非常勤講師,新潟大学非常勤講師,早稲田大学デジタルエンタテインメント研究所所長.NICT客員研究員を併任.コンピュータグラフィックス, コンピュータビジョン,音声情報処理,ヒューマンコンピュータインタラクション,感性情報処理の研究に従事.