日本のゲーム制作において、「プロデューサー」というのは、カリスマ的なクリエイターを指し、彼の作品を信奉する支援者および資金提供決済者によって資金調達が行われ、プロジェクトが進行するケースがほとんどでした。
この場合、使われる資金の本当の性格は、出資者側から見る「投資」という「コンテンツビジネス」と、実際は性質が全く違う構造だったと言わざるを得ません。
では、その他の職業「プロデューサー」はその周辺でどうしていたのかというと、これは、常に一定サイクルのハード買い換え需要や消費者世代の底上げによって収益が右肩上がりであったが故に、ただルーチンワークで仕事をしてきてしまったのではないでしょうか?
それが、世の中全体の経済的な悪化で、ゲーム制作の資金調達も回収も困難な時代に突入してきて、皆の頭を悩ませ始めています。では、ゲームという「コンテンツビジネス」そのものに未来がないのか?・・・そこまで言うヒトはありません。
ビジネスとして続けて行くには、根本的にもっと熟考すべき時期が来ているだけです。
(特に「回収」の構造について人任せで逃げずに、議論していくべきでしょう)
映画業界では、「日本映画の不振」と似たような論調で以前は、よく語られていました。
しかし、昨今ハリウッドのシステムが持つ重要な側面「資金調達とそのリクープ」について目が向けられ、実際にハリウッドの資本も日本に投入され、特にTV業界をバックボーンに現れたマーケティングに強い「プロデューサー」が、コンテンツ制作を活性化させてきています。
「プロデューサー」が開発の現場経験者やクリエイターの称号ではなく、マーケティングを理解し論理的に資金調達・管理し、渉外担当として本来の役割をするには、その人材のスキルアップが非常に重要だと考えます。
このセッションでは、クリエイティブな部分とビジネスの部分、両方に意識が向けられるようなヒトになろうよと言うことを、その知識(海外から来た専門用語)を含め分かりやすく説いていきたいと考えます。
嘗て、流通で業界激戦区の秋葉原でキャリアをスタートし、海外ソフト会社のライセンシーを経験し、次世代ゲーム機時代は商社の立場から業界を見続けて、私は今年で20年になります。しがらみの無い立場にある現在だから話せる、ゲーム企画を収益予想から見た分析、制作におけるお金の使い方と回収方法までフローにした説明、自身がバブル時代に目の当たりにしたリアルな失敗例やそのリカバーの考え方を分かりやすく話せたらと思います。
講演者プロフィール
照山 茂行
SAMURAIゲームファクトリー代表、GFF・福岡ゲーム産業振興機構加盟。
ソフトバンク流通部門でゲームソフトのバイヤーから、キャリアスタート。Broderbundの日本代理店を経て、伊藤忠のゲーム事業部門でコンソールゲーム業界に。近年は、サイバーフロントを経て、独立。
代表タイトルは、「プリンセスメーカーシリーズ」「アイドル雀士スーチーパイシリーズ」
《講師からのメッセージ》
講演者は、過去20年間流通営業、仕入れ、広報、開発の現場管理へと遡った希な経験値を積んでおり、また最近では東京から福岡へと活動の拠点を移しております。
その辺の経歴から、今の若手のゲーム企画者に向けてメソッドと展望の持論を示したいと考えております。