映像メディアは,映像だけでは成り立たちません。必ず「音」を伴っています。映像表現における音の役割は多岐に渡りますが,いつも「脇役」扱いです。しかし,主役の「映像」が引き立つのは,「脇役の音がうまく機能して」こそです。「音」が映像に命を吹き込み,「音」がストーリーを語り,「音」が感動を生み出すのです。ゲームの世界でも,音の効果は欠かせません。「音」が虚構の世界にリアリティを与え,ゲームにのめり込ませるのです。私の研究室では,音と映像の相乗効果を科学的に実証してきました。感性にアピールする「音」のチカラを引き出す術を示したいと思っています。
セッションのサブタイトルでもある「音と映像の相乗効果」。ゲーム開発現場でも頻繁に話題になるキーワードではありますが、なんとなく理解しているようで、実は感覚的な面でしか捉えてこなかったのでは無いでしょうか?
本セッションでは、九州大学で長年研究を続けてこられた岩宮教授をお招きし、学術的な面から「音」の必要性と魅力、そして映像との関連性について講演いただきます。
これからのゲームオーディオ&ビジュアル開発のヒントになるであろう貴重なお話を、ぜひお聞き下さい。
講演者プロフィール
岩宮 眞一郎
九州芸術工科大学音響設計学科卒。工学博士。音の主観評価,音と映像の相互作用,サウンドスケープ,音のデザイン等の研究に従事。著書に,音の生態学-音と人間のかかわり-(コロナ社,2000),音楽と映像のマルチモーダル・コミュニケーション(九州大学出版会,2000),音のデザイン―感性に訴える音をつくる―(九州大学出版会,2007),よくわかる最新音響の基本と仕組み(秀和システム,2007),CDでわかる 音楽の科学(ナツメ社,2009)など。日本音響学会佐藤論文賞,日本音楽知覚認知学会論文賞,日本騒音制御工学会研究功績賞(論文)受賞。木村カエラ「+1」特典DVDの「木村カエラの映像実験室」で解説。