当講演者(武田 政樹)は、株式会社ナムコにて「ウインニングラン」「リッジレーサー」といったゲームにおける、3Dアーケードゲームシステム(システム21、システム22といった)の各種要素技術開発やツール開発、企画演出提案まで含めたアーキテクトの業務経験を持ち、その後、ネットワークの可能性を広げるi-mode事業の立ち上げなどに従事後、2001年に現会社を創立し、経営を行いながら、「パックマン」「ゼビウス」「電車でGo!」といった携帯電話の各種のコンテンツを初期より世に送り、また近年は大手SNS様で実際に運営されている3Dアバターシステムやクラウドベースのレンダリングシステムに関する開発を行ってきました。
この業務経験の中で、現状までの現ゲーム業界、携帯業界を含むコンテンツ業界、また広い意味での通信情報業界における日本の立ち位置と今後の発展に関して洞察をしてきておりますが、今後の状況は憂うべき状態となりつつあると感じてきました。
この中で近年、AppleやGoogleなどが展開するクラウドとネットワーク、その中での新たな携帯端末の可能性は今までの産業構造とエコシステムを破壊し、全く新たなコンテンツやビジネスの可能性を広げている状況があります。しかし一方では既にiPhoneコンテンツ業界の飽和、facebookなどのアプリでの飽和も比較的早期に進む状況もあり、ゲーム業界は徐々に長期の進むべき方向性を失いつつあるように思います。またこの状況は海外のゲームシーンより、日本の方が旧態依然とした開発方法や巨大パブリッシャーの存在と開発資本の流動性が海外より少ないことなどから、より顕著に早期に表れていると考えています。
この中で、日本により特化した形で全く既成概念にとらわれない、新たなコンセプトを持つプラットフォームが必要であり、またそれが今までのゲームシーンでの限界をもう一段崩し、長期的な新たな業界の地平線を開く可能性があるものと講演者は考えており、そういった実際のプラットフォームがどういう形を取るべきか、に関して洞察を行い、その中で業界として、ある意味我々の社のような1社で持つ形の狭い概念でなく、今後業界としてオープンな概念とビジネスモデルで広げていくような、長期的な業界発展の礎となる新たなプラットフォームの概念の提案を講演の中で行わせていただく形が取れればと考えております。
講演者プロフィール
武田 政樹
ナムコ(現バンダイナムコ)にて黎明期の3Dアーケードシステム(System21、System22)のアーキテクト・設計・開発。ASICデザインからDSPプログラミングやツール開発などまでを行う。
i-mode創成期に各種企画・開発・プロデュ-スなど。「パックマン」などのJavaコンテンツ立ち上げやサイトのプロデュースなどを行う。
現社にて初代代表取締役。経営の傍ら、携帯向け「パックマン」「リッジレーサー」「バーチャファイター」「電車でGo!」等の移植開発や自社ブランドのプロデュース・ディレクションに従事。3Dアバターシステム開発、クラウドシステム開発、AR、Android関連での研究開発なども。
《講師からのメッセージ》
私は20年来この業界にいますが、ゲーム業界は最近結構元気がないお話ばかり。かといって弊社の事業中心のケータイの分野もいろいろ大変です。
日本だけかと思えば海外も。このゲーム業界の状況は実は1980年代や90年代にもありました。そろそろ既存のビジネスの枠にとらわれない新しいビジネススキームやプラットフォームを考えたい時期に来ているようには思いませんか?iPhoneやiPadはなぜ元気なの?Googleもすごいなあ・・手をこまねいているばかりじゃあ、日本はどうなるのかなあ・・・と。多少なりとも新しい空気が吹き込める要素があるのかどうか?
そんな動機で私が考えているものをご紹介できればと思います。