・「信長の野望」に代表される歴史シミュレーションゲームの制作サイドの情報について、これまで一般に公開した事例は意外に少ない。なかでもビジュアル面については皆無と言っていいだろう。
今回のセッションでは、コーエーがリリースする歴史シミュレーションならではの「伝統的な拘り」の面と、最新作「信長の野望・天道」で新たに導入したCG表現や制作ノウハウの「新しい試み」の面を、あわせて紹介していく。セッションは構成を大きく4つに分けプレゼンテーションを行なう。4つの構成は以下のとおり。
1.信長の野望シリーズ・CG表現の変遷
2. 一筆入魂!武将スチル ~歴史武将におけるキャラクターデザイン~
3. 大量の情報を制御する操作系が命!ユーザーインターフェイス
4. 戦国時代を具現化!3D表現
[各構成の説明]
1. 信長の野望シリーズ・CG表現の変遷
・歴代「信長の野望」のCG表現の変遷を紹介。ドット絵時代から、PHOTOSHOP等による2D表現主体の時代、さらに最新作「天道」の3D表現に至るまでの経緯と各時代のCG表現のポイントを説明し、エピソードも披露する。あわせて、歴代タイトルで代々継承してきた、ビジュアル面での伝統的な要素を紹介する。
2. 一筆入魂!武将スチル ~歴史武将におけるキャラクターデザイン~
・「信長の野望」を代表するイメージ素材と言える、戦国武将スチル。
「武将」というキャラクターの魅力をどのように考え、実在の人物のキャラクター化する際のポイントとは何かを解説。シリーズを続けていくなかでの課題「伝統と新規性の葛藤」「マンネリズムをいかに打破していくか」についても説明する。また、プレゼンテーションの一環として、スチル制作の実演を担当者が行ない、表現手法や制作ノウハウのポイントを実地でアピールする。
3. 大量の情報を制御する操作系が要!ユーザーインターフェイス
・ユーザーが最も目にする機会が多く、最もプレイに影響し直結するCGといえば「UI」だろう。それだけに歴代「信長の野望」ではUIを非常に重要なカテゴリーとして扱ってきている。内容や表現が変わっても、歴代タイトルで一貫して目標としているのは、
「多種多様な大量の情報を、効率よく見やすく表示する」
「ユーザーにストレスを与えない快適な操作系を構築する」
これら2点の課題を高いレベルで実現することである。「天道」でのこれらの課題への取り組みを、実際の制作プロセスや作業上のエピソードを披瀝しつつ紹介していく。
講演者プロフィール
眞田 敬史
最新作「天道」等、「信長の野望」シリーズ3作のCGディレクションを担当。
シリーズへの拘わりは「天翔記」(6作目)の機種移植作業から。
所属するCG部では背景ステージ制作チームを統括している。
亀井 亮太
1992年(株)コーエー入社。CG部所属。
「信長の野望」、「三國志」シリーズを中心に担当。特に武将の2DCGに関しての統括を行っている。
《講師からのメッセージ》
ドット絵のころからずっと2Dを描いてきました。
キャラクターを描くことは大好きですが、実在した歴史上の人物をキャラクターとして表現することに責任も感じています。今まで信長シリーズだけでも膨大な数のキャラクターを作ってきましたが、社外に向けて製作工程を紹介することはほとんどありませんでした。今回このような機会を頂いて、工程の一部を見ていただくことになり、大変光栄に思っております。
皆様の制作活動に何らかの形で貢献できれば幸せです。