このセッションでは、確立された映画吹き替え業界の事例を参考として、国際市場向けビデオゲームのオーディオプロダクションの類似点と相違点を検討します。 また、プリプロダクション、ポストプロダクション、音声録音セッションにおける典型的な手順や具体的なテクニックの分析を行います。ヴォイスキャスティング、レコーディング、A/V資産管理、ファイルのプリマスタリング、ローカルレコーディングプラクティス、および国際品質保証についてもお話しします。さらには、理論的な説明も行います。たとえば、ソフトウェアをシームレスにロード、ミックスし、各国でそれぞれのタイミングで録音されたオーディオ資産を組み合わせるためにスピーチヴォイス・レコーディング段階で一般的に考慮すべき制約などについて、理論面から説明します。
また、「フェイブル2」、「モンスターハンター3」、「アンチャーテッド2」など、レファレンスタイトルのインターナショナルバージョンの制作で培った経験から、多言語プロジェクトでゲームのパブリッシャー、開発業者が直面する共通の課題についてもお話しします。
講演者プロフィール
Fabio Minazzi
物理学のデジタルオーディオ技術分野で学位を取得し、卒業後は、1988年からフィリップスでインタラクティブメディア用オーディオプロダクションの先駆者として活躍しました。この20年間は、マイクロソフト、カプコンなどのレファレンスクライアントが展開するゲームのローカライゼーション・プロジェクト・リーダーを務めています。同氏は IGDAのローカライゼーションSIG運営委員会(IGDA Localization SIG Steering Committee)のメンバーであり、GDCやAESコンファレンスなど、ゲーム業界の主要イベントでローカライゼーションや国際生産に関する講演を数多く行ってきました。
《講師からのメッセージ》
AAAビデオゲームは、今や制作予算が10億円を超え、開発チームのスタッフ数が何百人にも達することも少なくありません。その意味において、AAAビデオゲームの制作はハリウッド映画の制作に近づいてきたと言えます。また、膨大な量のオーディオビジュアルコンテンツが使用され、最新のエンターテインメント技術が駆使されています。同時にゲームの国際化は進んでおり、適切なインターナショナルオーディオを確保することはゲームの輸出を成功させるために欠かせない要素となっています。私のお話しすることが、このセッションに参加するみなさまにとって有益なものであり、製品の海外展開の成功に役立つものとなることを願っております。