本発表では、レースゲームのリアルタイムレンダリングにおけるカリングシステムに、ニューラルネットワーク(NN)を活用した最新手法について紹介します。PS1®,PS2®,PS3®と世代を追うごとに、従来手動で編集していたカリング情報を、事前計算で自動化する手法へ移行してきました。この事前計算手法の限界を踏まえ、比較的シンプルなニューラルネットワークだけでなく、ガウス位置エンコーディング、ハッシュ化された潜在ベクトルなどのテクニックを活用することで、メモリ効率やクエリ速度を向上させました。従来手法とのベンチマークにより、CPUでの推論がGPUよりも高速である点も含め、本手法の優位性を明示します。
講演者プロフィール
于 承中

東京理科大学学部に在学する際にSIGGRAPH 2023で「Deep Real-time Volumetric Rendering Using Multi-feature Fusion」という技術論文を発表。この革新的な研究はリアルタイムボリュームレンダリングの分野に新たな道を切り開きました。卒業後は株式会社ポリフォニー・デジタルにグラフィックスエンジニアとして入社。現在は最先端のゲームグラフィックス技術の開発に従事し、著名な「グランツーリスモシリーズ」というレーシングゲームタイトルでの高品質な映像表現の実現に貢献しています。
《講演者からのメッセージ》
ニューラルの力を感じてください
内村 創

2008年ポリフォニー・デジタル入社。以後ムービーの高画質再生や事前計算とリアルタイム双方のオクルージョンカリングシステム、色システム全般、特に車体の塗装色の計測から再現システム、写真撮影機能「Scapes」向けのHDR画像処理などを担当してきました。2024年までCEDEC運営委員をしておりました。
《講演者からのメッセージ》
ポリフォニー・デジタルでは機械学習やニューラルネットワーク等の最先端コンピュータサイエンスをゲーム制作に応用する取り組みを進めています。ご質問ご興味のある方はぜひ現地で講演にお越しください。