近年の写実的なシーンでは大量の光源を扱うことが多くなってきています。このようなシーンをレンダリングするアルゴリズムを多光源レンダリングと呼びます。こうした多光源レンダリングでは大量の光源を扱うだけでなく、物体表面の反射特性も考慮して光源をサンプリングするのが理想的です。しかしながら、鋭い光沢面では光源のサンプリングが困難になるという問題がありました。本セッションでは、特に木構造を用いた光源サンプリングに焦点を当て、過去研究されてきた手法から最近の手法まで網羅的に紹介していきます。さらに、光沢面を考慮した最新の手法としてSiggraph Asia 2024で発表された論文 "Hierarchical Light Sampling with Accurate Spherical Gaussian Lighting" についても紹介します。本セッションを通して、各光源サンプリング手法の特性や必要なデータ構造、制限事項を明確にしていきたいと思います。
講演者プロフィール
池田 翔

2017年4月AMD入社。物理ベースのレンダリングエンジンである Radeon™ ProRender の開発に携わる。レンダリングエンジンの開発と並行して多光源レンダリングやレイトレーシング関連の研究に取り組み、近年では機械学習を用いたレンダリングの研究開発も行っている。
《講演者からのメッセージ》
カテゴリが「エンジニアリング」となっていますが、講演内容は論文紹介が中心ですのでややアカデミックよりになっております。簡単に説明できるように心がけてまいりますので、本講演が皆様のお役に立てれば幸いです。