3Dオーディオや立体音響、イマーシブオーディオといった言葉は、ゲームの世界で広く使われるようになりましたが、初学者にとってはまだ難しく感じられるかもしれません。そこで、この講演では、混同しやすい用語の解説と基礎知識を、ゲームの没入感を高めるための2つのポイントに分けて説明します。
1つ目は、ゲーム内の仮想空間の音響特性の設計についてです。物理的に正しい音響とゲーム的に正しい音響のバランスや、空間認知に関する音の発音、伝搬、反射と残響について詳しく説明します。
2つ目は、その音響特性をユーザー環境で高い再現性をもって再生する方法です。どれだけ仮想空間(ゲーム内)の音響デザインが優れていても、現実で再現できなければユーザーに届きません。現実空間での再生環境について議論し、仮想空間の音響デザインを現実でどのように再現するか、より良い再生環境を作るためにできることを解説します。
この講演を通じて、3Dオーディオの基礎を理解し、ゲームの没入感を高めるための音響デザインのポイントの理解を深めて頂ければと思います。
講演者プロフィール
金子 貴紀

2016年、株式会社コナミデジタルエンタテインメント入社。
コンシューマー部門にてハイエンドコンソール向けタイトルのBGM制作・演出・実装を担当。
近年は主にオーディオ部門のディレクションやプロジェクト管理を主業務としている。
過去のCEDEC講演歴
作曲家による包括的なインタラクティブミュージック制作 -Metal Gear SurviveのBGM制作事例-
https://cedec.cesa.or.jp/2018/session/detail/s5ab3d33332d9e.html
立体音響の歴史と可能性、そして実際の音楽制作におけるTIPSについて
https://cedec.cesa.or.jp/2022/session/detail/198.html
音場を広げる!~Amazing Bombermanのインタラクティブに変化する2Dサウンド制作事例~
https://cedec.cesa.or.jp/2023/session/detail/s63f89c8b65f7e.html
「SILENT HILL: The Short Message」ナラティブドリブンゲームのサウンド制作
https://cedec.cesa.or.jp/2024/session/detail/s65f3968ed76ca/
YOASOBIのマーケティングとサウンドプロデュース
https://cedec.cesa.or.jp/2024/session/detail/s661ccfb4bca9a/
《講演者からのメッセージ》
この講演が皆様のゲームオーディオ制作のお役に立てると嬉しいです。