ゲームのアクセシビリティから共創する社会へ –障害者×支援者×開発者が共につくるゲームの取り組みから–

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日時:
2025年07月24日(木)13時40分〜14時40分
形式: レギュラーセッション(60分)
受講スキル:
どなたでもご参加いただけます。例えば、以下のような方は大歓迎です。 ・ゲーム制作現場の方 ・ゲームコンテンツを世の中に広める立場の方 ・ゲーム品質向上に関与のある方 ・ゲームのアクセシビリティの方向性に悩まれている方
受講者が得られるであろう知見:
・アクセシビリティに対する障害当事者関係者の生の声 ・ゲームのアクセシビリティに関する最新の動向 ・ゲームのアクセシビリティを高める取り組み
セッションの内容

昨今、より多くの人々がゲームを楽しめるようにするため、世界ではAccessible Games Initiative(AGI)が発足するなど、ゲームのアクセシビリティがより一層注目されています。メーカーがこのアクセシビリティを追求することは、単に、障害のある方々への社会貢献だけに留まるものでなく、デジタル社会においては全ての人が対象となり得る社会問題解決法のひとつで、さらなる顧客拡大にもつながるものです。

一方、日本では、改正障害者差別解消法、読書バリアフリー法、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法等のアクセシビリティに関する法律がこのほぼ5年足らずで整備され、障害のある人々が、そうでない人々と同じ情報を、同じタイミングで、特性に応じた手段で入手でき、やりとりできる社会づくりが動きはじめています。もちろん、ゲームもその対象と考えられており、その開発も新たなフェーズに入りつつあります。

 この新たな時代においては、開発者とユーザーが建設的なコミュニケーションをとり、共創することが不可欠です。本パネルディスカッションでは、まず、これまで自分なりの工夫でゲームを楽しんできたユーザーの視点(視覚障害者)と、それを支えてきた支援者の視点(医療・教育)から、ゲームのアクセシビリティに対するニーズを整理します。その上で、現在、公益社団法人NEXT VISIONと株式会社バンダイナムコスタジオが進めるゲームのアクセシビリティの取り組みを事例的に紹介します。

タイムテーブル

本パネルディスカッションの前半では、見えない、あるいは、見えにくい状態の視覚障害児・者がどのようにゲームを遊んでいるのか。また、それが教育や医療において、どのような意味を持っているのかについて、実際の当事者・支援者の関係者が情報提供をします。後半では、ゲーム×アクセシビリティ×障害をテーマに例年NEXT VISIONが実施しているゲームアワードである「G-1グランプリ」やその入賞作品の紹介、また、株式会社バンダイナムコスタジオと共に進めているゲームのアクセシビリティに関する取り組みをご紹介します。


講演資料

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講演者プロフィール

三宅 琢

三宅 琢
所属 : 公益社団法人 NEXT VISION
役職 : 副理事

2005年東京医科大学医学部卒業、医学博士と専門医を取得し2012年にテクノロジーを用いた障害者支援を行うGift Handsを起業し障がいや疾病に伴う困難さがある人々にICT活用やアプリを処方する眼科医に転身。2014年からは株式会社Studio Gift Hands 代表として、労働者や人事労務担当者に対してのヘルスリテラシーや心理的安全性の向上、合理的配慮に関する教育やコンサルティングを行う産業医として複数の企業のメンタルヘルス関連の教育顧問を務める。2025年現在医療・教育・福祉など分野横断的に活動し、社会課題に対して哲学対話や場づくりを処方する社会医という、3つのスタイルで人と社会のwell-being向上を行う医師であり社会活動家。

相羽 大輔

相羽 大輔
所属 : 愛知教育大学
部署 : 教育科学系 特別支援教育講座
役職 : 准教授

2013年度に筑波大学院人間総合科学研究科障害科学専攻を修了し、博士(障害科学)を取得。同時期に慶應義塾大学自然科学研究教育センター にて、特別支援教育での教科書デジタルデータ活用やICTの活用に関する研究に従事。その後、2014年度から現在の愛知教育大学特別支援教育講座に着任し、視覚障害児童生徒を指導する教員養成の仕事に従事。昨今は、ゲームのアクセシビリティ、ゲームが障害のある児童生徒にもたらす教育効果について実践・研究を行っている。仕掛け人のひとりとして、G-1グランプリの企画運営に毎年携わっている。

原田 勝弘

原田 勝弘
所属 : 株式会社バンダイナムコスタジオ
部署 : 第1スタジオ
役職 : エグゼクティブゲームディレクター&チーフプロデューサー

早稲田大学卒、心理学専攻。旧ナムコ時代はアーケード用と家庭用の双方において、企画&ディレクター、キャラクターデザイン、旧ナムコのアクションゲームエンジンの基礎となっているゲームアニメーション制御システムスクリプトの開発を担当。鉄拳シリーズのプロジェクトリーダーとして30年携わり、マーケティング、ファンイベント&コミュニティマネジメントなども担当。バンダイナムコ以降は、ゼネラルマネージャーとして家庭用、アーケード用、モバイルゲーム、ヘッドマウント型VRゲームなどのゲームデザイン&プロデュース業務を担当。2015~2019年はグローバル事業推進室、家庭用ゲーム展開における海外(ワールドワイド)マーケティング戦略部、eSports事業のGMを担当。 2020年度より、新たな大規模ゲーム開発プロジェクトを発足、新規IPや新タイトルの開発に注力している。 

白井 崇陽

白井 崇陽
所属 : ゲームアクセシビリティ研究チームIGL
役職 : 代表

バイオリニスト。愛知県田原市出身。3歳で視力を失い、幼少よりバイオリンを始める。1995年・1997年に全日本盲学生音楽コンクール(現・ヘレンケラー記念音楽コンクール)において連続して第1位を受賞。筑波大学附属盲学校を経て、2006年に桐朋学園大学音楽学部バイオリン専攻卒業。2008年にアルバム『大いなる刻』でCDデビュー。2019年には歌唱にも挑戦したアルバム『空と大地のノスタルジア』をリリース。全国各地での演奏の他、学校での講演(トーク&ライブ)・舞台音楽への参加・アニメやゲーム音楽のレコーディング・ラジオパーソナリティ・囲碁など幅広く活動中。ゲームアクセシビリティ研究チームIGLインビジブル・ゲーミングラボ代表。