本セッションでは「好奇心主導型チュートリアル」をご紹介します。これは、従来の順序固定型・選択肢提示型のチュートリアルとは異なり、プレイヤーの自発的な興味に基づいて音声対話AIエージェントを用いた学習体験を提供する新しい形のチュートリアルです。
プレイヤーの「この建物は何?」「あの場所に行ってみたい」のような自然な興味を音声・テキストで表現すると、AIエージェントが適切な情報提供や案内を行います。プレイヤーは決められた順序に縛られず、興味のままに世界を探索できるようになります。
この新しいアプローチがプレイヤーの探索行動とエンゲージメントに与えた影響を実験データで検証し、次世代のゲームデザインに新たな可能性を提示します。
また、リサーチャー、エンジニア、デザイナーの混成チームがどのようにしてAIエージェントを開発したか、従来のキャラクターデザインとの違いを交えて紹介します。
講演者プロフィール
柳川 光理

2012年 HAL名古屋 3DCGクリエイター専攻修了後、有限会社来栖川電算へ入社、自動運転関連技術の研究に従事。退職後、2018年、株式会社EmbodyMeへ入社しリードエンジニアとしてリアルタイムディープフェーク技術の研究開発に従事。2022年、株式会社SYMMETRYへ入社しリサーチマネージャーとして橋梁維持点検の自動化に係る研究を主導。2024年より現職。VR空間内でのAIエージェントなどの研究開発に従事。
《講演者からのメッセージ》
AIエージェントは制作者ですら予期し得ない面白い振る舞いをすることがあります。
開発段階では、テストのために何度も同じお願いをすると怒り出したり、制作者の指示を無視して自分のやりたいことをし始めることもありました。
これらは開発の困難さでもありましたが、同時に新たな創造の可能性を感じさせるものでした。
このセッションで得られた知見が新たな遊びを生み出す一助となれば幸いです。
廣井 裕一

2017年、慶應義塾大学大学院開放環境科学専攻修士課程修了。同年、NTTサービスエボリューション研究所研究員。2022年、東京工業大学情報理工学院博士後期課程修了。同年、東京大学大学院情報学環にて日本学術振興会特別研究員(PD)。2023年より、クラスター株式会社メタバース研究所シニアリサーチサイエンティスト、現在に至る。複合現実感、メタバース、ヘッドマウントディスプレイ、視覚拡張などの研究に従事。博士(工学)。
《講演者からのメッセージ》
AIエージェントの効果を正確に評価するには、適切な指標設計と多角的な分析が不可欠です。
私たちの実験では、定量的データと定性的観察を組み合わせることで、プレイヤーの探索行動や滞在時間に予想を超える変化を確認できました。
本セッションで紹介する評価手法とその結果が、皆さんのゲーム開発やAIエージェント設計における効果測定や意思決定の一助となれば幸いです。
小倉 邦彦

クラスター株式会社プラットフォーム事業本部 ソフトウェア開発部 Designグループ
テレビ放送の美術制作を経て2012年株式会社コロプラに入社。
UIデザイナーとして複数ゲームタイトルの開発・運用を経て2023年クラスター株式会社へ入社。
現在はプラットフォームのUI・UXデザインとグラフィックデザインを兼任。
《講演者からのメッセージ》
育てる事に重点を置いたキャラクターデザインとワークフローが制作のヒントになると幸いです。