筋ジストロフィーを患っているため指先以外は自由に動かせない若者とのゲーム作りを通して
施設内での障がいを持つ人の作業とプレイ環境の実体と、ゲームに触れることなく過ごされたお年寄り、
はじめてゲームに触れる子供などが遊ぶときに引っかかる問題や解決案の例をご紹介いたします。
講演者プロフィール
小林貴樹

今年で58歳の現役ゲーム開発者。40年前から愉快なゲームやツールを作り続けています。最近は自社開発ツールのプチコン4 SmileBASICや RPG Developer Bakinを使った未来のゲーム開発者を増やす活動と、定年後のゲーム開発者が活躍するための環境作りを生きがいとして楽しく過ごしています。
《講演者からのメッセージ》
この業界で働いているとだれもがテレビゲームを遊んだことがあると思いがちですが、実際にはゲームに触れることなく歳を取った人や、遊びたいけど障がいがあって自由に物を持ったり動かすことができない人達が大勢います。もっと多くの人にゲームを楽しんでもらうために開発者ができることのヒントが1つでも伝えられると嬉しいです。
小野憲史

雑誌「ゲーム批評」編集長、ゲームジャーナリストなどを経て2020年より現職。ゲームデザイン、マーケティング、実習科目、卒業研究制作などを担当。他にNPO法人国際ゲーム開発者協会日本名誉理事・事務局長、東京藝術大学大学院映像研究科ゲームコース非常勤講師など。
《講演者からのメッセージ》
全世界の16%の人は何らかの障がいを負っているとされます。この割合は世界の英語話者と同等です。こうした背景から近年、ゲームのアクセシビリティについて注目が集まっています。ゲームを作る人、遊ぶ人、ゲーム制作について学ぶ人、それぞれにとってのアクセシビリティについて、一緒に考えてみませんか?
参考:みんなのゲームラボ(https://hirake55.com/minna-game/)
中村 司

僕はデュシェンヌ型筋ジストロフィーという病気で、北海道医療センターに入院しています。
現在23歳で、今年で入院して8年目になります。
ゲーム制作を始めたのは高校1年生の頃で、最初は趣味として病院内で自作したゲームを披露していました。
その後、病院の作業療法士・田中先生をはじめ、東京国際工科専門職大学の小野先生や、株式会社スマイルブームの小林社長とのご縁がきっかけとなり、病院の外でも活動の幅が広がっていきました。
現在は、施設や放課後等デイサービスに向けてゲームを提供したり、eスポーツイベントやゲーム展示会に向けてゲーム制作をしたりしています。
制作したゲームは「みんなのゲームラボ」という自身のWebページで公開しているので、もしご興味があれば、ぜひご覧ください。
(みんなのゲームラボ:https://hirake55.com/minna-game/)
《講演者からのメッセージ》
僕は現在、24時間人工呼吸器を使いながら生活しています。
「人工呼吸器を使っている」と聞くと、「寝たきり」や「何もできない」といったイメージを持たれることがあるかもしれません。
でも実際には、人工呼吸器を使いながら、自分のやりたいことに挑戦している人もたくさんいます。
僕自身もゲームが好きで、「自分でも作ってみたい」と思ったのがきっかけで、人工呼吸器を使うようになった今でも、こうしてゲーム制作の活動を続けています。
この講演を通して、人工呼吸器を使っている障害当事者でも、ゲームを作ったり遊んだりできるということを、少しでも多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。