ゲーム中に登場する背景シーンの開発において、多くの背景物を配置することは、表現力を高める一方で性能に大きな負担が発生します。Unityで大量のオブジェクトを効率良く描画するためには、専用の描画手法を取り入れる必要があり、高度な実装が求められ、また、レンダリングフローのカスタマイズにより、エンジンの基本機能を保つのが難しくなるという課題もあります。
この講演では、Unity URPの標準機能を活かしながら特定のシーンを効率よく描画するための描画最適化手法を紹介します。独自のRenderer Featureを紹介し、現場での開発事例を交えつつ、GPU駆動レンダリングとGPUカリングの実装コードを解説します。
本講演で紹介するテクニックを活用することで、Unity URPの標準機能を損なうことなく大量のオブジェクトを効率的に描画することが可能になります。
講演者プロフィール
丁 旗
前職はゲーム開発会社に勤務し、コンシューマタイトルのインゲーム実装とグラフィックス開発に携わりました。株式会社ラセングル入社後は、主にUnityを用いたグラフィックスとクライアントの設計・実装を担当しています。
《講演者からのメッセージ》
GPU駆動レンダリングは主に大規模なシーンにおいてその真価を発揮しますが、実装過程では一定の技術的課題を伴います。本講演では、具体的な実装例を通じて、Unityにおける大規模なオブジェクト描画の最適化手法と知見を共有したいと思います。描画高速化に興味をお持ちの方はぜひお越しください。
ウィラ タマナ
株式会社ラセングルでUnityクライアントエンジニアを担当しております。
これまでにスマホゲームとSwitchゲームをリリースした経験があります。ゲーム開発における技術的な挑戦や新しいアイデアに興味があるため、CEDECを通じて、GPUの素晴らしさを皆さんにご紹介したいと思います。
《講演者からのメッセージ》
本セッションの後半では、広範囲な自然表現の一例として、レイマーチングを使った大気散乱の実装方法をご紹介します。レイマーチングを用いることで、大気中の粒子と光の相互作用を正確に描写でき、リアルな空や息をのむようなシーンを再現することが可能です。興味のある方は、ぜひご参加ください。