近年世界各国でインディーゲーム開発が行われ、ゲーム市場全体の活性化を促す一方で、様々な理由から個々の開発者・開発チームの生存は困難になっている。そうした状況下、インキュベーションプログラム・アクセラレーションプログラムというインディーゲームの組織的な育成モデルが世界各地で発達し、成功を収めてきている。そこで今回は、インディーゲーム開発者育成プログラムの現状について、日本を含む世界各地域の特徴について説明し、ゲーム開発者、ゲームパブリッシャー、教育機関、そして政府機関がどのように活用することが可能なのかについて解説する。
講演者プロフィール
佐藤 翔
京都大学総合人間学部卒、米国サンダーバード国際経営大学院で国際経営修士号取得。ヨルダンのゲーム業界団体勤務後、株式会社メディアクリエイトで8年間勤務。2020年にルーディムス株式会社を創業。2023年に映像産業振興機構とスウェーデンでゲームビジネスツアーを共催、中東協力センターの依頼でサウジアラビアでゲーム産業調査事業を実施。日本初のゲームインキュベーター、indie Game incubator(iGi)の事務局長であり、経済産業省主催のゲームアクセラレーター、創風に関与。2024年には米国IGDAのIncubation SIGを50か国80団体以上のインキュベーター等と共に設立、議長に就任し、GDC2024でラウンドテーブルを主催。ドイツ、インド、マレーシア、南アフリカなど世界20カ国以上で講演。
《講演者からのメッセージ》
ゲームインキュベーター・アクセラレーターはスウェーデンやスペインなど、ヨーロッパ諸国を中心に数多くの成功を収めています。近年は日本を含めアジア各国にも様々なインキュベーター・アクセラレーターが設立されるようになり、インディーゲーム開発者を育て、パブリッシャーや投資家、教育機関、政府機関などといった重要なステークホルダーと接続する各国・各地域ゲーム産業のハブとして機能するようになっています。本セッションを通じてゲーム産業におけるインキュベーター・アクセラレーターの役割を深く知っていただくとともに、皆さまの個々の立場でどのように関わっていくことができるのか、理解を深めていただければ大変嬉しく思います。
一條 貴彰
個人ゲーム作家として『Back in 1995』を開発、Steam/Nintendo Switch/PS4/XboxOne向けに配信。現在は次回作を開発しながら、執筆活動やアドバイザリー業務を通じて日本のインディーがさらに活躍できるような環境整備を行っている。
著書「インディーゲーム・サバイバルガイド」、経済産業省事業「創風」アドバイザー、インキュベーションプログラム「iGi indie Game incubator」アドバイザー、ウェブサイト「IndieGamesJp.dev 」運営、インディーゲーム開発者専用カンファレンス「Indie Developers Conference」共同主催。
《講演者からのメッセージ》
昨今、大小さまざまなゲームビジネスが「インディーゲーム」と呼称されておりますが、本講演においては「個人~数人チームの作家が、自分たちのビジョンに基づいて自主的に制作し配信販売するゲーム作品」という意味でお話をいたします。
2016年に講演を行った「『僕たちは作りたいものを作る』自主制作ゲームの今」から8年、ここ日本においてもさまざまなインディーゲーム開発者向けの育成支援プロジェクトが展開されるようになりました。
当事者の一人として、インディーゲームの文化が国内ゲーム産業全体に寄与し、ともに発展するための未来の展望をお話しできればと思っています。