リアルタイム光学エフェクトの深淵へ~究極表現への道と位置~

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日時:
2024年08月21日(水)16時40分〜17時40分
形式: レギュラーセッション(60分)
受講スキル:
・現在光学エフェクトでどこまでの表現が可能かに興味のある方 ・ポートレート等の「玉ボケ」においてエフェクトと実写との間に表現力の隔たりや不満を感じる方 ・ポストエフェクトを高速に高品質化する手法に興味のある方 ・現行の光学エフェクトの表現力をある程度把握していることが望ましい ・CEDEC2012/2019の弊社資料に目を通しているとより理解を深めやすい
受講者が得られるであろう知見:
・現在リアルタイムで可能な光学エフェクトの限界的な表現 ・従来と一線を画す表現に必要な要素とその実装手法 ・高品質な表現を負荷を少なく実装するための工夫やアイデア/考え方のヒント ・今後ポストエフェクトにどのような進化が可能か/予想されるかといった展望
セッションの内容

リアルタイムCGにおけるポストエフェクト(ポストプロセッシングエフェクト)は、20年前の黎明期から大きく進化しています。
被写界深度やレンズフレア、モーションブラーといった光学的なエフェクトも、ある程度の写実性を達成していると言えるでしょう。
「ボケ表現」を例に取ると、スキャッタリング手法による滑らかなボケ、絞り羽根形状や口径食(レモンボケ)、収差シミュレーションによるボケ味の表現なども可能になっています。
しかし、それでも実写の巨大な「玉ボケ」などと比較すると、やはりその複雑さ、ディティール感などには依然として大きな隔たりがあります。

本セッションでは、実写レベルの光学エフェクトを実現するために従来のリアルタイム表現では足りない要素(一例として波動光学による回折模様など)を明らかにし、追加負荷の少ない実用的な実装手法とその結果を紹介します。
また、現状ではリアルタイム処理は難しくとも、将来可能になると予想される表現や、残された課題の解決技術などの展望も紹介します。


講演資料

  • CEDEC2024_PostProcessingOpticalEffectDeepDive_Bokeh.pptx

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講演者プロフィール

川瀬 正樹

川瀬 正樹
所属 : シリコンスタジオ株式会社
部署 : テクノロジー事業本部 研究開発室
役職 : 室長/フェロー

プログラマブル・シェーダ黎明期におけるグラフィクスエンジン開発で、さまざまな基礎技術を考案。
現在はシリコンスタジオ株式会社にてYEBISをはじめとするミドルウェア研究開発に従事。得られた知見は、CEDEC/GDC/SIGGRAPHなどの技術講演で業界への共有を図っている。
CEDEC AWARD 2009 プログラミング・開発環境部門ノミネート。

《講演者からのメッセージ》
また久しぶりの光学関連セッションになります。

あくまでリアルタイムツールとしての実用が目的であり、「物理的正確性」を第一義に目指すものではありません。
光学エフェクトとして本質的に重要な効果や、実用の際に表現力として重要な意味をもつ効果を追求しています。
そして少しだけ、実用上の重要性は低くとも、分かる人は心がくすぐられるような効果も含まれます。

まだ実写には遠いものの、光学エフェクトはある程度の到達点に近づいて来ているように思います。
従来のリアルタイム表現とは一線を画す最新の光学エフェクトの深淵を楽しんで頂ければ幸いです。