本セッションでは、日本におけるゲーム実況文化の持続及び発展を目的に、「ゲーム実況」と「法律」の専門家が共同して、ゲーム実況における「配信ガイドライン」の利用・作成上の法的問題点についての状況を整理します。
まずは、配信ガイドラインが一般的に策定されるに至った経緯やその変遷について説明します。また、それらの配信ガイドラインの基礎的な知識を踏まえて、新たな試みとして、ゲーム実況における「配信ガイドライン」の利用・作成上の法的問題点についての考察を行います。これらの考察結果を発信することで、ゲーム実況者にまつわる法律関係に対する理解を促し、もって日本におけるゲーム実況文化の健全な持続及び発展に寄与することを企図しています。
最終的に、ゲーム会社はどのような点に注意して配信ガイドラインを作成すればいいのか、ゲーム実況者はどのような点に注意して配信ガイドラインを利用すればいいのかについて、一定の行為規範を示します。
講演者プロフィール
近藤 史一
1985年,愛知県生まれ。ネットタレント兼社会人学生。2008年に日本で初めてゲーム実況のマネタイズに成功。2009年にゲーム実況専門の映像制作プロダクションを立ち上げ,2018年末までゲーム実況番組の制作と出演に携わる。ゲーム実況の配信ガイドライン制定の推進活動や,クラウドファンディングを活用した東京ゲームショウ出展,ゲーム実況と著作権をテーマとしたCEDECでの講演などの活動を行い,現在はeスポーツシーンにおける選手のメンタルサポート事業を展開している。日本デジタルゲーム学会広報委員兼代議員,日本性科学会正会員,日本心理学会正会員。
《講演者からのメッセージ》
現在,ゲームを利用した映像配信活動は広く親しまれています。それに伴い,ゲームメーカーは「配信ガイドライン」を制定することが当たり前となりました。しかし,一口に配信ガイドラインと言っても,それぞれ異なった特徴を持っており,注意すべき点も様々です。そこで本セッションでは,配信ガイドラインを利用する方,作成する方に向けて,配信ガイドラインの変遷を辿りつつ,法的な問題点を考察します。
落合 一樹
2018年第二東京弁護士会登録。TMI総合法律事務所において、eスポーツ、ゲームやエンターテインメントに係る法務及びM&Aを専門とし、特にeスポーツ大会の運営事業に関わる法務や法規制、上場企業やゲーム関連企業のM&Aの対応経験を有する。
またシンガポールを拠点に、業界問わず世界各国の法規制に係る対応など、グローバルな活動を行う。
日経MOOK「eスポーツならではの問題も世界における法律面での課題」(2020年、日経BP社)
M&A戦略と法務2021年1月号315号「M&Aにおける職務発明に係る相当利益の請求権の法的処理」(2020年、レコフデータ)(共著)
eスポーツ学習ビジネス基礎・コミュニケーション基礎(2024年、株式会社NTT e-sports)(執筆協力)
《講演者からのメッセージ》
近年、ニコニコ動画やYouTubeを始めとする動画投稿プラットフォームの発展を契機に、誰でも簡単かつ気軽に自身の作成した動画等を、インターネットを通じて公衆に公開できるようになりました。これにより、これまでは(一部を除き)個人の趣味として完結していたゲームプレイが、第三者に閲覧させることで収益を生じたり、またはゲームの人気を利用してゲーム実況者の知名度に貢献するようになり、新たに「ゲームという第三者の著作物の対外的な利用」という問題を生じるようになっています。この点に関し、誰しも一定程度の疑問は抱いているものの、様々な要因により、不明瞭かつ未整備なままとなっていると感じている。
私自身、一ゲーム実況好きとして、またゲーム関連法務の専門家として、今後も日本独自のゲーム実況文化の健全な発展に寄与したいと考えています。そこで、実際ゲーム実況黎明期に、ゲーム実況者の先駆けとしてご活躍された近藤史一さんと協力し、少しでも上記のような不明瞭かつ未整備な分野に光をあてられるよう試みようと思います。
私達の本セッションが、ゲーム実況に関する考察を深めたいと考えている方の一助となれば幸いです。どうぞお気軽にご来場下さい。