中南米のゲーム市場は、市場規模の大きさと重要性にも拘わらず、日本での情報収集が最も困難な地域の一つです。大手のゲームメーカーであっても、中南米のゲーム市場は米国子会社に任せきり、というパターンも珍しくありません。
しかし、中南米市場はフォーマルの市場とインフォーマルの市場が複雑に絡み合い、東南アジアや南アジア、中東のような他の新興地域とはある点において似たような形で、別の点において違った形でこれまでにない大きな発達を遂げています。グローバル市場を目指す日本企業が無視してよい地域、あるいは他の市場と一緒くたにしてよい地域では決してありません。
また、海外作品をウォッチしている方の中には、『Kerbal Space Program』(メキシコ)や『VA-11 HALL-A』(ベネズエラ)はもちろん、『Retro Machina』(ブラジル)や『Per Aspera』(アルゼンチン)など、中南米のクリエイターによる素晴らしい作品が次々にリリースされていることをご存じの方もいらっしゃるかと思います。
本講演では、中南米のゲーム市場について、現地調査や関係者へのヒアリング、信頼できる調査機関のデータなどを元に、限られた時間の中で可能な限り、これまで日本でなかったレベルの解像度で、中南米ゲームビジネスの実情を深堀りします。
講演者プロフィール
佐藤 翔
京都大学総合人間学部卒、Thunderbird School of Global Managementで国際経営修士(MSGM)を取得。ヨルダンのゲーム業界団体で勤務経験があり、株式会社メディアクリエイトで主席アナリストとして『新興国ゲームビジネスレポート』の主筆を五年以上務めるなど、新興国のゲーム産業に精通。現在はLUDiMUS株式会社代表取締役で、iGi/indie Game incubatorの共同創設者としても活動。
『ゲームの今』で東南アジアのゲーム産業についての項を担当執筆。ゲーム特化型アクセラレーター、Game FoundersやサウジアラビアのHope Hackathonのメンター、インドのNASSCOM GDCの国際ボードメンバーを歴任。中国のGAMEDAILY CONNECT ASIA、マレーシアのLevel Up KL、ポーランドのGame Industry Conference、モロッコのMaghreb Game Conference、ブラジルのMERCADO JAPONÊS DE GAMES: DESAFIOS E OPORTUNIDADESなどで講演実績あり。日本でもCEDECの他、講演多数。
《講演者からのメッセージ》
CEDECではこれまで中東、東南アジア、インドなどのゲーム市場についてお話ししてまいりました。CEDECにおいて、ラテンアメリカのゲーム市場についてお話しさせていただくのはこれが初めてとなります。前回のように複数の地域について話をさせていただくのではなく、中南米一地域について、あらゆる方面から取り扱うセッションとなります。中南米を自分の足で調べた経験値を活かした知見と信頼できるデータを提供できればと思います。