・ゲームのリバーブは、仮想空間に合わせてパラメーターを操作することで動的な残響を表現する。
・コンボリューションリバーブはリアルな残響が表現できるが、計算コストが高く、柔軟な表現の変化が難しい。
・コンボリューションリバーブでも従来方式のように、パラメーターによって生成される残響を制御できないかと考えた。
・コンボリューションリバーブは一定サイズのブロック単位で畳み込みを行う。そこで、リアルタイムで畳み込むIRブロックを書き換えられることに着目した。
・パラメトリックで制御するリバーブ成分として、プリディレイ・ハイシェルフフィルター・音色の3つを選択し、IRブロックの操作によってそれぞれを実現した。
・これにより一つのコンボリューションリバーブで複数の空間の表現が可能になり、計算コストも抑えられると考えられる。
講演者プロフィール
チョ ヒョンス
2015年 九州大学工学部電気情報工学科 卒業
2020年 九州大学大学院システム情報科学府 卒業
同年 株式会社CRI・ミドルウェア 入社
韓国で高校を卒業した後、17歳の時に渡日。気づけば10年以上が過ぎました。
主に「CRI ADX」のオーディオエフェクトなど、信号処理を中心とした開発業務を担当。
《講演者からのメッセージ》
ハードウェアのサポートやマシンパワーの向上により、ゲームでも積極的にコンボリューションリバーブを使用できるようになりつつあります。
しかしゲームにおけるリバーブは状況に合わせて柔軟にコントロールできることが望ましい一方、コンボリューションリバーブはFDNなど従来のアルゴリズムのように出音を制御することは難しいと考えられています。
本セッションではリアルタイムでIRを切り替えるなど、ゲームにおけるコンボリューションリバーブの実装方法を紹介します。本セッションが皆様のゲーム開発の役に立つことを願っております。