ゲームにおけるNPCは、プレイヤーのシナリオ進行や世界観の理解のために重要な役割を果たします。通常NPCのセリフは、シナリオライターにより書かれ、声優により音声収録され、ゲームの進行に応じて変更されます。しかし、このようなセリフ製作では、プレイヤーとNPCのコミュニケーションに限界が生じます。特に近年のオープンワールドやメタバースといった現実世界に近いコミュニケーションが可能なゲームにおいて、NPCとのコミュニケーションの制約はゲーム構築の障壁となります。そこで本セッションでは、進展が著しいディープラーニングを用いたセリフ生成・音声合成・モーション生成により生み出される「AIキャラクター」を実現するための技術を説明します。AIキャラクターは、クリエイターだけでなくプレイヤーによるキャラクター作成を容易とするため、ユーザー生成コンテンツとしての可能性も秘めています。プレイヤーとAIキャラクターやAIキャラクター同士のコミュニケーションは、新たなゲームの世界を創生するでしょう。
講演者プロフィール
沢田 慶
2018年、名古屋工業大学大学院博士課程修了。同年、Microsoft Development株式会社にResearch SDEとして入社。りんなチームのスピンアウトに伴い、2020年よりrinna株式会社Research and Data Managerに就任。機械学習に基づく対話、音声合成、画像生成に関する研究開発に従事。ICLR、ICASSP、INTERSPEECH、CEDEC等で研究成果を発表。
《講演者からのメッセージ》
AIによる生成技術を紹介します!
シーン 誠
早稲田大学大学院基幹理工研究科応用数理専攻修士課程を修了。卒業後、株式会社フィリップス・ジャパンのリサーチチームを経て、rinna株式会社のスピンアウトを機に、2021年2月に入社。自然言語処理中心に研究開発に従事。
《講演者からのメッセージ》
Transformer技術の発展より、自然言語処理の性能が高くなってきました。本セッションでは、特に日本語に特化した対話生成タスクにおける弊社の取り組みについてお話しします。
三井 健太郎
2021年3月に東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻修士課程を修了。在学中Microsoft Developmentでのインターンを経て2021年4月よりrinna株式会社に入社し、音声合成を中心とした生成系の研究開発に従事。
《講演者からのメッセージ》
AIの分野は数年前から注目を浴びています。しかし、本年の中心テーマでもあるゲームに着目すると、セリフやキャラクターボイス、グラフィック等のほとんどが人手で制作されており、ゲームを介してAI技術の進歩を実感する機会は少ないと感じます。本発表ではrinna社で開発している技術を例に、現在のAIにどんなことができるのか、それらをゲームの世界にどのように応用できるのかを紹介したいと思っています。本セッションが、皆さんに最先端のAI技術への興味を持っていただくための一助になれば幸いです。