本セッションでは、『グランツーリスモ7』におけるフォトリアリスティックなレンダリングを実現するために用いられた具体的なテクニックを、結果を交えつつ解説します。
特に、
・PlayStation®5 世代で実現可能となったリアルタイムレイトレーシング
・マルチプラットフォームにおけるリアルタイム時間天候変化のための、天球シミュレーション・レンダリング
・路面や芝生といったメソスケール構造を伴った材質表現のためのシェーダテクニック
以上3点について詳しく解説を行います。
これらの諸要素は、レースゲームにおいて画面面積の多くを占める重要なものであり我々が特に力を入れた部分です。また、一般的なレンダリング技術開発においても興味深いものだと思います。
この発表により、先端的なレンダリング技術やグラフィックス表現についての知見の共有と研究の促進の助けとなることを目指します。
講演者プロフィール
鈴木 健太郎
2014年、ポリフォニー・デジタル入社。『グランツーリスモSPORT』においてポストエフェクトなどのリアルタイムレンダリングに関する実装を行う。『グランツーリスモ7』においてはグラフィックスエンジニアのリードとしてマネジメントを行うと同時に、天球シミュレーション・レンダリングの実装を中心に各種プログラムの開発を行う。
SIGGRAPH ASIA 2018において、『グランツーリスモSPORT』におけるHDR出力とワイドカラーに関する技術講演を、内村創と共同で実施。
《講演者からのメッセージ》
空や雲のシミュレーション、レンダリングはコンピュータグラフィックスにおいて今なお難しく、奥深い分野です。近年の研究も踏まえ、我々が採用したアプローチの利害得失について分かりやすく伝えることが出来れば幸いです。
高野 修一
2000年、ポリフォニー・デジタル入社。『グランツーリスモ3』以降、シリーズのグラフィックスシステムを中心に物理、システムプログラミングなどを幅広く担当。
《講演者からのメッセージ》
『グランツーリスモ』シリーズも今年で25周年。フォトリアリスティックな映像を実現することはもちろん、HDグラフィックス、3D、HDR、VR等、先進的なフィーチャーを取り入れることを常に心がけてきました。
最新作『グランツーリスモ7』でもハードウェアレイトレーシングを使ったレンダリングを導入し、今後もソニーAIとの共同研究による最先端のAIの導入が予定されています。今回はこれらの取り組みについてお話しする機会を頂きました。
CEDECでの公演は初めてとなりますが、受講者の皆様に何かしら参考になったと思って頂けるようなお話ができればと思います。
平井 健太朗
2019年、ポリフォニー・デジタル入社。『グランツーリスモ7』においてはグラフィックスエンジニアとして主にシェーディングモデルの改善を行うほか、各種ゲームモードのシステムやUIの実装を担当。
《講演者からのメッセージ》
メソスケールの構造を持った材質の表現は普遍的な題材でありながらデファクトスタンダードと言えるような手法が存在せず、多くの現場で悩みの種となっていることと思います。
今回は特に我々が路面や芝を対象として取り組んだシェーダー開発を紹介し、その方法論や得られた効果についてお伝えします。