現実空間での飲用、喫食体験は人間関係を形成する上で重要な物の一つと言えるだろう。しかし、近年の社会状況からそれらの体験が難しい物となっている。
そこで、自宅にいながら、遠隔地の人と共にバーで他の人に作ってもらったカクテルを味わう体験ができるシステム:VRShakerを製作した。
バーテンダーのカクテルシェイク動作をトラッキングし、現実世界の遠隔地にあるVRShaker筐体がカクテルシェイカーをシェイクする。体験者は構築されたメタバース上で呑みながら会話をすることができる。
本セッションでは、コロナウィルスと共生しなければならない現代においてメタバースを用いた喫食体験とその可能性について議論する。
講演者プロフィール
鈴木 謙太
2021年3月 神奈川工科大学 情報学部情報メディア学科卒業。同年4月 株式会社セガに入社。
学生時代はVR技術を用いたエンタテイメントコンテンツの研究を行う。非生物とのインタラクションを図る「なんでもじゃらし」(IVRC2018 ユース部門銀賞 明和電機賞)「準静電界を用いたHMD内での気配の知覚方法の提案」(EC2019)など。
現在は学生時代の経験を活かし、アーケードゲームの開発に従事。
《講演者からのメッセージ》
食事を共にする、というのはコミュニケーションにおいて重要な事の一つでしょう。しかし、この情勢下においてその体験がとても難しい物になっています。本セッションでは私たちが開発した「VRShaker」を例に、現代の状況に合わせた食事を共にするコミュニケーションについて探っていきたいと思います。
水野 史暁
2021年3月慶應義塾大学総合政策学部卒業。2021年5月現在 慶應義塾大学 政策メディア研究科在籍。ハードウェア・組み込み技術を用いた、インタラクティブなエンターテイメントコンテンツの開発や小型無人航空機(ドローン)における低遅延映像伝送技術の開発を行う。UAVを用いた捜索救助の実践と体系化(第一回JDCフォーラム)、 ドローンによる映像表現とエクストリーム環境下での映像メディア(第50回映像情報メディア学会招待講演)など。
《講演者からのメッセージ》
メタバースでのコミュニケーションに関する試みはコロナ禍以前から行われてきました。飲食を伴うコミュニケーションは人間関係を形成する上で重要な要素であり、現在では「Zoom呑み」としてオンラインで行われていることが見受けられます。本研究はこれをメタバースに移行し、よりよい体験ができるかを模索するものです。皆様のご意見をお待ちしております。
小林伶羽
2018年4月に東京電機大学情報通信工学部入学及び在籍。1年時にIVRC2018ユース部門に「なんでもじゃらし」という非生物とのインタラクションを行うコンテンツをチーム作製。現在は被災者撮影映像による災害現場の3次元可視化の研究を行っている。
《講演者からのメッセージ》
飲食店などにおける対面での飲み会は緊急事態宣言によって事実上の禁止を布かれましたが、それを掻い潜るために公園や店前で飲むなど本質的な解決に結びつかない新しい問題が浮上しつつあります。それほどまでに飲み会によるコミュニケーションは人々にとって重要な要素といえるでしょう。本研究は飲みの席をメタバースに置換することにより、この諸問題の解決にあたっていきます。