※ 本講演は、CEDEC2020講演『ゲームプログラマのための数学の歩き方 - ラプラシアン編』の続編ですが、内容につながりはありません。独立してご聴講していただけます。
ゲーム開発において、回転を表すクォータニオンを使う機会は多数あります。
クォータニオンの有用性として、ジンバルロックがなく、補間の計算が容易といった長所は各所で説明されています。
また、クォータニオンが回転になっていることを、実際に計算して確かめたことのある方もいるかと思います。
では、そもそもこのクォータニオンとは一体何者なのでしょうか?
なぜクォータニオンの掛け算(しかもqpq^(-1)などという奇妙な形の!)が回転になるのでしょうか?
本講演では、クォータニオンの背後にいるリー群・リー環・行列指数関数を通して、クォータニオンの「気持ち悪さ」を解消し、「なんとなく使える」状態から「応用できる」ようになることを目指します。
昨年度講演同様、独力で学ぶための参考にしていただければ幸いです。
講演者プロフィール
長谷川 勇
オープンソース開発、ソフトウェアプロダクト開発、エンタープライズシステム開発などの様々な開発を経てゲームプログラマに。株式会社スクウェア・エニックスでは、Luminous Studio、FINAL FANTASY XVの開発に参加し、VFX・UIを担当。現在は産学連携による共同研究の仕組み作りに従事。専門は言語処理系。ACM SIGGRAPH Asia 2018 Real Time Live! Chair、2021 Games Chair。共著『ゲームエンジニア養成読本』(Software Design plusシリーズ、技術評論社)。
《講演者からのメッセージ》
独力で数学を学ぶのって難しいですよね。
CEDEC2020の『ラプラシアン編』に引き続き、今年はクォータニオン・デュアルクォータニオンのお話をします。
高校数学と大学数学の壁を越える一助になれば幸いです。
朴 炯基
・九州大学数理学府機能数理学コース博士号取得:離散微分幾何学専門
・"Isoperimetric Deformations of Curves in the Minkowski Plane"の外、幾何学関連論文3本出版
・"International Congress on Industrial and Applied Mathematics 2019 Mini-symposium: Geometric Shape Generation" の外、20回の国内外研究発表
《講演者からのメッセージ》
数学の一分野である幾何学はゲーム開発において必要不可欠な分野です。特に、クォータニオンとリー群みたいに幾何学的な形状の運動と関係する理論はさらに使う機会が多いと思います。皆さんも既にこういった数学理論を開発に使われていると思いますが、もっと深く理解して応用したいとか単純に背景が気になるなどの理由でこの理論をもっと数学的に学びたい方にこの講演が役に立てればと考えています。